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ドリトル先生と奇麗な薔薇達

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第二幕その十

「防腐にもなるしね」
「いいこと尽くしだよね」
「日の丸弁当は」
「何かと」
「これをはじめたのは誰かというと」 
 その梅干を食べつつ言う先生でした。
「乃木希典大将なんだ」
「ああ、あの」
「日清戦争と日露戦争で活躍した」
「あの人だね」
「そうだよ、あの人がね」  
 先生はご飯も食べつつ言います。
「最初にはじめたそうだよ」
「そうなんだね」
「それは意外だね」
「あの人がはじめたなんて」
「日の丸弁当を」
「質素な人でね」 
 乃木大将という人はというのです。
「若い頃は放蕩もしたそうだけれど」
「それがだね」
「僕達が知ってる乃木大将になったんだね」
「質素で謹厳実直な」
「そんな人になったんだ」
「そうなんだ」 
 まさにというのです。
「あの人はね」
「最初からじゃなかったんだ」
「当初はそんな人だったんだ」
「放蕩もした」
「そんな人だったんだ」
「行いをあらためて」
 そうしてというのです。
「家のお食事は稗ご飯にして」
「ああ、稗ね」
「稗をご飯に入れてたんだ」
「そうして食べていたんだ」
「お家では」
「それでも外では奮発して」
 そうしてというのです。
「白いご飯でね」
「真ん中に梅干しを置いて」
「それでだね」
「それを食べていたんだね」
「あの人は」
「そうだよ、世界的にはずっと評価の高い人だけれど」 
 乃木大将ご自身のお話もするのでした。
「戦後日本では長い間評価が低かったね」
「そうだね」
「そうだよね」
「どうも」
「無能とか言われてたね」
「戦争が下手だったって」
「全く違うよ」 
 その評価はというのです。
「日露戦争での旅順のことがよく言われるけれど」
「中々攻め落とせないで」
「損害が多過ぎて」
「二人の息子さんも戦死させて」
「そう言われてるね」
「うん、けれどね」 
 それでもというのです。 
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