ドリトル先生と奇麗な薔薇達
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第二幕その七
「悪く言われる様になりました」
「そうでしたか」
「そうです、善政を行い芸術と薔薇を愛してです」
「民衆のことを考えてても」
「状況が変われば」
先生は薔薇の香りの中で紅茶を飲みつつお話しました、その雰囲気を決して悪いものではないと思いながら。
「そうしたところもです」
「変わりますか」
「そうです、そして薔薇はローマの頃もです」
「愛されていたのですね」
「あのクレオパトラも好きで」
美貌で知られたこの人もというのです。
「アントニウスを出迎える時に」
「薔薇を用いたのですね」
「船一面に薔薇の花を敷き詰めて」
そうしてというのです。
「出迎えたのです」
「凄い演出ですね」
「そうですね、兎角薔薇はです」
サンドイッチを食べる日笠さんにお話しました。
「この様にです」
「昔からですね」
「愛されているお花です」
「そうですか」
「そして」
先生はさらにお話しました。
「先程薔薇を食べられるというお話をしましたが」
「そのことですか」
「薔薇のジャムもありますね」
「そうですね」
日笠さんも頷きました、そしてです。
自分の手元を見てです、先生に言いました。
「薔薇のジャムはこちらにもあります」
「ジャムも楽しみませんか」
「そうですね」
先生の言葉に笑顔で応えました。
「それでは」
「薔薇のジャムも素敵ですよね」
先生は早速ジャムの蓋を開けて日笠さんにどうぞと言ってサンドイッチを渡してもらってその表面にジャムを塗りつつお話しました。
「苺やブルーベリーのジャムも美味しくて」
「いえ、私はこれまで」
「召し上がられたことはないですか」
「実は」
そうだというのです。
「今回がです」
「はじめてですか」
「薔薇のジャムをいただくのは」
「そうなのですね、これがです」
先生はその日笠さんに笑顔で応えました。
「中々いいものなので」
「それで、ですね」
「召し上がられても」
そうしてもというのです。
「いいですので」
「それで、ですね」
「召し上がられて下さい」
「それでは」
日笠さんは微笑んで頷きました、そしてです。
薔薇のジャム、深紅のそれを塗ったサンドイッチを一口食べました。先生も同じ様にしたサンドイッチを食べています、そのうえで日笠さんに尋ねました。
「如何でしょうか」
「美味しいですね」
日笠さんは笑顔で答えました。
「甘くて香りもです」
「薔薇の香りがしますね」
「そのこともです」
まさにというのです。
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