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ドリトル先生と奇麗な薔薇達

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第二幕その五

「日本中で。そしてお花見といいますと」
「桜を見ますね」
「日本では」
「そうですね、それがイギリスではです」
「薔薇になりますか」
「強いて言いますと」
 その薔薇達を見て日笠さんにお話するのでした。
「そうなります」
「そうですか」
「はい、そして」
 先生はさらにお話しました。
「もっと言えばローマ帝国でもです」
「薔薇は好まれていましたね」
「はい」
 そうだったというのです。
「あのネロもです」
「薔薇が好きだったのですね」
「長い間暴君と呼ばれていましたが」
 この人はというのです。
「実はです」
「違いましたね」
「そうでした、暴君というのは」
 この悪名はというのです。
「キリスト教を弾圧したからで」
「それからのことですね」
「キリスト教徒はネロ以前から弾圧されていました」
「ネロが最初ではありませんでしたね」
「帝国にある多くの宗教や皇帝の権威を認めなかったので」
 その為にというのです。
「言うならば不穏分子だったので」
「弾圧されていたんですね」
「ネロが問題ではなく」
「帝国を認めなかったので」
「弾圧されていました、ですがネロはしっかりとローマの国家戦略を理解していて」
 そうしてというのです。
「政治を行い平民や奴隷にも寛容で」
「政治はよかったのですね」
「火災の際も陣頭指揮を執りましたし」
 そうもしていたというのです。
「有名なローマの火災ですが」
「その時にですね」
「はい」
 まさにというのです。
「火の粉が降りかかることもものともせず」
「陣頭指揮を執って」
「後の救済政策も街の債権も行いました」
「いい皇帝でしたか」
「全体に見て。ただ短気なところがあり」
 性格的にというのです。
「そして平民や奴隷に寛容で貴族達から反発を受けギリシア文化が好きで」
「そのことも問題だったのですか」
「ローマ固有の文化を貴ぶ保守派の人達からも好まれていませんでした」
「大カトーの様な」
「そうです、しかも自分では軍隊を率いたことがないので」
「そうだったのですね」
「軍隊を動かせても」
 それは出来てもというのです。
「自分は率いられませんでした」
「それが問題だったのですか」
「ローマ皇帝は時として自ら軍を率いて戦うものだったので」
「そいえば」
 日笠さんも言われて気付きました。
「ローマ帝国を築いたカエサルもでしたね」
「その基礎を固めましたね」
「ローマが帝国になるにあたって」
「彼もそうでしたね」
「軍隊を率いていましたね」
「代々の皇帝は戦争になりますと」
 その時はというのです。 
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