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星河の覇皇

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第八十六部第五章 傍目に見つつその五十八

「多くの人材を消し去った」
「そうしてでしたね」
「ソ連軍は弱体化した」
「しかしジャバル副主席は」
「粛清はだな」
「しないと思いますが」
「それは行わないだろうが」
 マールボロもこう言った。
「しかしだ」
「政治将校を置き」
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「無能な人材を多く登用してな」
 そうしてというのだ。
「それからな」
「そしてですか」
「その人材が軍を好きに動かし」
「弱体化させる」
「軍隊は数と装備だけか」
「数は言うまでもないです」
 モンサルヴァートはまずそちらの話をした。
「連合軍を見ればわかることです」
「あの国はまさにそれだな」
「数が最大の力です」
「そして物資もな」
「尚且つ装備もですが」
「やはりな」
 マールボロも言った。
「連合軍最大の武器は数だ」
「まさにその通りですね」
「我々もその数に敗れた」
「あの圧倒的な数に」
「そうなったのを見るとな」
「やはり軍隊は数です」
「それが一番重要な要素だ」
 こう言い切った。
「何といってもな」
「それはその通りですね」
「そしてもう話に出たが」
「装備もです」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「装備もだ」
「戦争に勝つ為にはな」
「重要です」
「ハードウェアもな」
「そちらも。しかし」
「ハードウェアだけで勝てるか」
 マールボロはここで己の言葉に疑問符を付けて話した、これはあえてそうしたものである。そうしてさらに言うのだ。
「果たして」
「その筈がありません」
「ソフトウェアもな」
「即ち人材もです」
 これもというのだ。
「必要です」
「その通りだ、しかしだ」
「ジャバル副主席はそれがわかっていない」
「他の分野は人材を考えているが」
「軍事においては」
「どうもな」
 政治の他の分野に対するのとは違ってというのだ。
「わかっておられぬな」
「そしてそれがですね」
「あの御仁のネックになる」
「マウリア軍を弱体化させてしまう」
「それがな」
 何といってもというのだ。
「あの副主席殿の汚点になるだろう」
「政治的な」
「若し戦争にでもなればな」
「その可能性は殆どないにしても」
「それでもだ」
 マウリアが戦争を行った場合はというのだ。
「間違いなく大戦初期のソ連軍の様にだ」
「致命的な敗北を喫する」
「そうなる」
 確実にというのだ。 
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