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星河の覇皇

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第八十六部第五章 傍目に見つつその五十九

「そうなってしまってだ」
「そしてですね」
「マウリアの国益を損ねる、ただ本当にな」
「マウリアが戦争を行う可能性はないですね」
「ほぼな、だから政治的汚点はな」
「目立たないですね」
「そのまま終わるだろう」
 こう言うのだった。
「副主席殿にとっては幸いにな」
「まさにそうですね」
「人は人に過ぎない」
 マールボロはこうも言った。
「だから過ちも犯す」
「誰であっても」
「過ちを犯さない人間なぞいない」
 絶対に、そうした言葉だった。
「だからあの副主席殿もな」
「過ちを犯し」
「それは軍事だ」
「そういうことですね」
「だがその過ちが目立たないならな」
「それならですね」
「構わない、しかしあの御仁は政治家としては恐ろしいまでの力量がある」
 軍事以外の政治のことではというのだ。
「あれだけの政治力の持ち主はな」
「そうはいないですか」
「タレーランやフーシェ以上か」
「フランス革命の時に出て」
「政治家として活躍したな」
「よくも悪くも」
「二人共政治家としては素晴らしかった」
 マールボロもこのことは認めた。
「政治力だけでなく知力もだ」
「究めて高かったです」
「教養も備えていてな」
「あの頃のフランスで随一の政治家でした」
「ナポレオン以上のな」
「あれだけの政治力と知力を兼ね備えた政治家は」
 モンサルヴァートは二人についてこうも言った。
「人類の歴史でもです」
「そうは出ていないな」
「はい、ですが」
「能力は高かったが」
「二人共倫理観はありませんでした」
「政治的なそれはな」
「そちらは皆無で」 
 そしてだったのだ。
「ロベスピエールを陥れました」
「そして彼を同志達ごとギロチン台に送ることに一役買った」
「総裁政府に入り」
「次はナポレオンに仕えた」
 二人共そうしたのだ。
「それぞれ内政と外交の柱になった」
「フーシェは内政、タレーランは外交でしたね」
「そうなったが」
「ナポレオンさえ裏切り」
「そして失脚させた」
「そうでしたね」
「あのナポレオンでさえ敵わなかった怪物達だ」
 こと政治の分野においてはだ。
「その彼等以上にだ」
「ジャバル副主席はですね」
「かなりの力量の持ち主だ」
 軍事以外の分野ではというのだ。
「だから確実にだ」
「大きなことをしますか」
「アウトカースト層の革命を目指しているそうだが」
「その革命を成し遂げる」
「それは確実に出来る」
 間違いなくというのだ。 
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