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星河の覇皇

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第八十六部第五章 傍目に見つつその五十七

「私もです」
「ギルフォード総統にはいる」
「いざという時にですね」
「カミュ首相は出来る」
 ギルフォードを止めることがというのだ。
「あの方ならな」
「アランソ副首相も」
「それが可能だ、有能なリーダーでもな」
「止めることが出来る人は必要ですね」
「どうしてもな、ヘンリー八世にはいなかった」
 マールボはまた自国の話をした。
「あの方にはな」
「止めようとするとですね」
「すぐに処刑した」
「トマス=モアにしても」
「英邁なところは確かにあったが」
 それでもというのだ。
「だがな」
「ヘンリー八世については」
「そうしたご気性であられたからな」
 諫言する者がいれば即座に処刑台に送った、王妃だけでなくそうしたことを行う側近達も処刑していたのだ。
「だからな」
「誰も止められずに」
「ああなった、エリザベス一世とは違っていた」
「エリザベス一世はですね」
「人の意見を聞かれたしな」
 ヘンリー八世と違ってだ。
「そして止められる側近もな」
「いましたね」
「逆に議会や側近に押し切られることもあった」
 スコットランド女王メアリー=スチュワートの処刑は最期の最期まで躊躇していた、だが結局彼等に押し切られたのだ。
「そうしたこともあった」
「あの女王については」
「そうだったが」
「ヘンリー八世については」
「そうした人物もいなくてな」
「あの様な王になられたのですね」
「今も評判は悪い」
 それも非常にというのだ。
「王妃を次々と処刑されたことからな」
「若しそうしたことを止められる側近がいたならば」
「悪評はなくな」
「英邁な部分がよく出て」
「名君と言われたかも知れない」
 こう言うのだった。
「若しかしてな」
「そう考えるとですね」
「止められる人物は必要だ」
「ジャバル副主席にも」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「やはりな」
「どれだけ優れた人物にもですね」
「その人物の暴走を止めたりな」
「欠点を補う為にも」
「必要だ、しかしだ」
「ジャバル副主席にはいない」
 そうした人物はというのだ。
「だからだ」
「その軍事的才能のなさがですね」
「はっきりと出てしまう」
「そしてマウリア軍が弱体化する」
「二次大戦前のソ連軍の様にな」
 そこまでのというのだ。
「そうなるだろう」
「あそこまで、ですか」
「当時のソ連軍はスターリンが大粛清を行いだ」
 これはナチスで最もナチス的と言えるハイドリヒの謀略によるものであるという、ソ連軍の将校達がスターリンに叛乱を企てているという偽情報を流したのだ。 
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