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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード ~歌と魔法が起こす奇跡~

作者:黒井福
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XV編
  第209話:届かぬ説得

 ロスアラモス研究所がジェネシスのメデューサに襲撃されてから丸1日が経過していた。その間、ジェネシスが何らかのアクションを起こしたと言う事は聞かないし、同様にジェネシスと組んでいると思しき錬金術師が動いたと言う報告も聞いていない。
 しかしアリスは少なくとも錬金術師達に関しては何らかのアクションを起こすものと言う予測を立てていた。理由は言わずもがな、先日彼女達が稀血の回収に失敗しているからだ。彼女達は自らの生存の為に、人工透析の為の輸血を必要としている。それが手に入らなかった以上、何処からかそれを回収する為に動くだろうと言うのが彼女の考えであった。

 この事態に際し、颯人と奏達は何時でも出動できるようにと交代で24時間臨戦態勢で本部にて待機。何時何が起きても即応出来る状態を維持していた。

 そんな中でガルドは、食堂にてエプロンを身に着けたまま遅めのブレイクタイムを過ごしていた。彼は戦闘員であると同時に本部潜水艦のコックでもある。人は食べねば生きていけぬ生き物である以上、食事には常に気を遣わねばならない。故にガルドは待機状態に関係なく、本部の職員が何時でも腹を満たせるように夕食の仕込みを整えていたのだ。
 今はそれも一段落着き、軽く摘まめる軽食と共にコーヒーを楽しんでいた。

「ふぅ…………ふむ」

 湯気の立つコーヒーを口に流し込み、熱い息を吐き出し一息つくガルド。だがその表情は直ぐに真剣なものとなり、休憩している筈なのに何処か張りつめた物を感じさせた。
 そんな彼の前に、同じようにコーヒーの入ったカップを持ってセレナがやってくる。

「また考え事?」
「ん? あぁ、まぁな……」

 セレナは直ぐに分かった。ガルドがこういう顔をしている時は大抵考え事をしている時だ。それも内容は大体が奥歯に何かが引っ掛かったと言う様な、普通であれば見逃してもおかしくないような内容が多い。人によっては考えすぎとかそう思う程度の事が多いので、誰に相談する事もなく1人で悩む事が殆どであった。
 それが分かっているので、セレナは敢えて自分から彼に問い掛けてその悩みを打ち明けさせるのである。

「埠頭であの子達に全血製剤を受け渡した黒服の男とは何者かと思ってな」

 最初S.O.N.G.では米国政府が疑われていたが、過日の反応兵器使用の際の出来事や今回襲われた研究所が米国政府にとって先端技術の発信地点であると同時に異端技術の研究拠点である事を加味すると、米国を黒幕として疑うのは少し難しい。

 そうなると、一体誰が黒幕……と言うか協力者になると言うのか。
 実はこれに関して、ガルドは1つ懸念している事があった。それが今彼が抱えている悩みでもある。

「ガルド君はどう考えてるの?」
「……荒唐無稽かもしれないが、俺としては……日本政府を疑うべきなんじゃないかと思ってる」
「えっ!?」

 まさかの答えにセレナも思わず言葉を失う。ガルドは咄嗟に彼女の唇に人差し指を当ててそれ以上彼女が声を発する事を押さえさせた。思わぬ内容に驚きを隠せないセレナであったが、唇に触れた彼の指の感触に我に返ると口を閉ざし小さく頷く。それを見て小さく息を吐いたガルドは、軽く周囲を見渡して聞き耳を立てているような者が居ない事を確認すると少し声を落として自身の考えを口にした。

「勿論、政府関係者全員を疑ってる訳じゃない。特にツバサの父親のヤツヒロなんかは除外しても良いだろう」
「じゃあ、誰が……?」
「……風鳴 フドウ」

 ガルドが疑っているのは風鳴機関と表立って動かない訃堂であった。直接目にした事のない相手ではあったが、何度か発令所のモニターで弦十郎と話しているのを見た限りでは訃堂はかなりの過激派に属する人間だとガルドは思っている。実際彼は神の力を取り込んでしまった響を躊躇なく殺処分しようと自衛隊を動かした。装者でありS.O.N.G.の重要な戦力の1人でもある、立派な日本国国民である筈の響を相手にしてである。日本と言う”国”の為であれば自国民であろうと容易く犠牲に出来る、その非情さと野心を感じさせるあの眼光を見て、ガルドは危険な何かを感じずにはいられなかった。

「今まであの男が俺達に直接何かをしてきたと言う事は無い。ヒビキに対しても、俺達に対してと言うよりはヒビキ個人に対しての処分だったと思う。だが、それでも俺はあの男を信用しきる事が出来ない。何時か背中から撃たれるんじゃないかって言う、そんな漠然とした不安がどうしても拭えなくてな」
「それで、今回の事も疑ってるんだ……」

 セレナの言葉にガルドは神妙な面持ちで頷いた。無論、背中から撃たれたと言うだけなら何とかする。だがガルドが本当に心配しているのは、自分の事ではなくセレナの事であった。

「もし俺がここを離れている間にセレナに何かあったらと思うと……な」
「ガルド君……」

 その言葉にセレナは嬉しさを感じると同時に情けなさと申し訳なさを感じずにはいられなかった。相変わらず、自分は彼らにとってただの守るべき存在でしかないのだ。彼らの負担となっている、あの頃から何も変わっていない。もうベッドから出て、自分の足で歩き回っても何も問題ないと言うのにである。何の力もないこの身が恨めしくて、悔しさに泣き崩れてしまいそうになった。

 しかしセレナは強い女性だ。己の弱い部分に負ける事無く気丈に笑みを浮かべると、彼女はそっと彼の手を掴んだ。

「ガルド君、ありがとう。……でも大丈夫だよ。もし何かあっても、自力で逃げるくらいは私にもできるから。あの頃とは違うもん。だからそんなに心配しないで……ね?」

 白くしなやかな、白魚の様な指が無骨なガルドの指に絡まる。彼女の手の温もりと柔らかさに、ガルドは愛しさに頬を赤く染めた。見るとセレナの方もほんのり頬を赤くしている。

 気付けば2人はそのまま互いに引き合う様に顔を近付けていき――――

「良い雰囲気のところ悪いがガルド、仕事だ」
「どわっ!?」
「キャァッ!?!?」

 出し抜けに2人の間を覗き込むようにして声を掛けてきた颯人に、ガルドとセレナは同時に面食らい飛び上る様にして離れた。早鐘を打つ心臓を押さえるセレナを優しく抱きしめながら、ガルドはいきなり声を掛けてきた颯人に色々な意味を込めて抗議した。

「いきなり顔を出すなッ! 心臓止まるかと思っただろうがッ!」
「悪い悪い。ただちょっと終わるのを待ってられる状況じゃなかったんでな」

 そこで2人は2人だけの時間を颯人に見られていた事に気付き、恥ずかしさに揃って顔を真っ赤にした。普段であればもう少しその様子を楽しんでも良かったのだが、今回ばかりは颯人も長々とおちょくるような事はせず端的に話を進めさせた。

「今言ったばっかだけどもう一度言うぜ。ガルド、仕事だ」
「仕事……って事は、動きが?」
「あぁ、切歌ちゃんと調ちゃんのお手柄だ」

 何でも交代で待機任務から解放された切歌と調は、偶然にもミラアルクが病院に襲撃を掛ける瞬間に出くわしたらしい。どういった偶然か、2人が立ち寄っていた公園の直ぐ近くにある病院の屋上にミラアルクが降り立つのを見て、2人は先行してミラアルクに戦いを挑むとの事だ。

「本来なら2人だけでいきなり戦わせるなんてしねえんだけどな。今回は場所が場所だ。時間かければそれだけ逆に被害が増えちまう。ってんで、あの2人には一足先におっ始めてもらってる」
「それを俺達で援護しろって事か」

 今回の戦場は病院だ。下手をすれば何時も以上に民間人に被害が出てしまう。病院には満足に動けない人も大勢いるのだ。きっと切歌と調も病院への被害を抑える為、出せる力は限られる筈。そこを颯人とガルドが2人で援護するのである。
 上手くいけば病院を守ると同時に、ミラアルクの身柄の確保も上手くいくかもしれない。この機を逃す道理はなかった。

 状況を理解したガルドは、セレナに出撃する事を伝えた。

「そう言う訳だ。セレナ、行ってくる」
「うん、気を付けてね」
「あぁ」

 2人が挨拶を済ませるのを待って、颯人はガルドと共に転移の魔法でその場から姿を消した。後に残されたセレナは、ガルドの姿が見えなくなるとそれまで抑えていた心の苦しさを吐露する様に俯き大きく息を吐いた。

「ガルド君…………」

 セレナは切に願った。力が欲しい。愛するガルドや姉の足手纏いにならず、2人を支えられるような力が欲しいと。

 暫くその場に佇んでいたセレナは、何かを決意したように顔を上げるとその場を離れた。彼女が向かう先は、食堂とは反対方向であった。




***




 一方その頃、本当に偶然にも公園に立ち寄っていたら近くの病院にミラアルクが降り立つのを見た切歌と調の2人は、途中看護師に呼び止められながらもエレベーターで病院の屋上へと向かっていた。

『今颯人君にも伝えたわ。そう遠くない内にそっちに増援が行く筈だから、無理はしないでッ!』
「はいッ!」
「了解デースッ!」

 あおいから増援が来ることを知らされた2人は、何の憂いも無くミラアルクとの戦いへと臨んだ。エレベーターが屋上に到着し、扉が開くと正面にミラアルクが佇んでいるのが見える。

 その姿を見た切歌は、開口一番ミラアルクへと警告の言葉を発した。

「待つのデスッ! 事と次第によっては、荒事上等の私達デスがッ!」
「その前に、あなたの目的を聞かせてくださいッ!」

 ミラアルクがジェネシスに与している事は最早分かっている。だから所属までいちいち聞くような事はしない。本当に聞きたい事は、彼女達の目的だ。ジェネシスなどに手を貸し、世間を乱してまで彼女達が求めるものとは? やはり人間としての普通の体を取り戻す事なのか? その事を問い質す必要があると思っての問い掛けであったが、些か性急に過ぎた感は否めない。

 調からの問い掛けに聞く耳持たずと言った様子で、ミラアルクはアルカノイズの召喚結晶を周囲にばら撒いた。

「そんな悠長、こっちには無いんだゼッ!」

 次々と姿を現し病院の屋上を埋め尽くす勢いで増えるアルカノイズ。それを見て、2人は物怖じすることなくシンフォギアを身に纏った。

「Various shul shagana tron」

 シュルシャガナとイガリマをそれぞれ纏った2人は、並居るアルカノイズを次々と切り裂き殲滅していく。元々事切断と言う事に関しては他の追随を許さない2人の攻撃、コンディションも万全の2人を木端なアルカノイズ程度で止められる筈もなく、数も理不尽と言う程ではないので苦も無く殲滅していく。

 しかしその中には粒とも言える目を引く戦力はあるものであり、まるでバナナの様なアルカノイズが2体、屋上を高速で滑る様に移動しながら切歌の回るを動き回り翻弄していた。

「くッ! このッ!」

 バナナの様なアルカノイズは尾の様な部分の先端にある解剖器官で切歌を攻撃する。対抗する切歌であったが、得物が長いが故のレスポンスの遅さでイマイチ有効な反撃を叩き込む事が出来ないでいた。
 次第に切歌の顔に焦りが浮かびだした時、突如2体の体が無数の鎖で縛り付けられた。

〈バインド、プリーズ〉
「あっ!」
「何だゼッ!?」

 突然現れてアルカノイズの動きを封じた鎖。それに覚えがある切歌は顔に笑みを浮かべ、対照的に突然の事にミラアルクは顔を引き攣らせる。
 その間に動きを封じられたアルカノイズだけでなく、周囲に蔓延るアルカノイズ達も飛来した銃弾により体を撃ち抜かれ消滅していった。

「お待たせっと」
「すまない、遅くなった」

 現れたのはウィザードに変身した颯人とキャスターに変身したガルドであった。ガルドが魔法でアルカノイズの動きを封じ、動きの止まったアルカノイズを颯人が撃ち抜いたのである。

 2人が現れたのはミラアルクを挟んで切歌と調の反対側。つまり、ミラアルクは4人に囲まれる形となった訳である。逃げ場を失い、またパナケイア流体の淀みが進行し目に見える形で体調が悪化したミラアルクは脂汗を浮かべて颯人達と切歌達を交互に見やる。

 彼女の様子から大分限界が近くなってきている事を見抜いた颯人は、ここで少し揺さぶりをかけてみることにした。貪欲に生存の為に動けるのであれば、よりリスクが小さい方を選ばずにはいられない筈である。

「辛そうだな」
「あぁ?」
「そろそろ、稀血で透析する必要があるんじゃないのか?」
「ッ!? お、お前、何で……!?」

 颯人の言葉にミラアルクは目を見開く。自分達が稀血を手に入れようとしている事は、前回ケースを置いて来てしまった事から予想が出来た。だがその稀血を自分達に使うと言う発想にまで至るとは思っていなかった。

 何故颯人達が自分達の体をの事を知っているのかと警戒するミラアルクだったが、彼らが旧パヴァリア光明結社の幹部と親しくしていたと言う情報を思い出しそこから自分達の事を知ったのだと言う結論に達した。

「そうか……元結社の連中に……」
「ん~、まぁ間違ってはいないか。でも今重要なのはそこじゃねえんだ」
「何?」

 一向に話が進まない事に苛立ちを見せるミラアルク。そんな彼女に調が颯人に代わる様に声を掛けた。

「あのッ!」
「今度は何だゼッ!」
「あなた達の体、治せるかもしれないのッ!」
「だから、私達に付いて来て欲しいのデスよッ!」
「…………は?」

 ミラアルクは一瞬何を言われているのか分からなかった。だが切歌と調の言葉の内容が頭に沁み込むと、それが意味する事に気付き肉体を苛む苦痛も忘れて調達の方へと歩み寄った。

「な、治せる? これを……?」
「うん」
「私達の仲間に、腕の立つ錬金術師が居るのデス! その人に診てもらえば……」

 やはり彼女達は望まずしてあの体になったらしい。治療を条件にチラつかせれば直ぐに心が揺れ動いた。このまま説得して降伏させ、本部に連れて帰る事が出来ればジェネシスに関しても情報を得られると思ったその時、突然調の背後にゲートの様なものが開いたのを颯人は目にした。

「ッ!? 調ちゃん、伏せろッ!」
「えっ?」
「調ッ!?」

 突然颯人が叫んだので、何の事か分からず動きを止めた調。対する切歌は本能的に危険が近付いている事に気付いたのか、咄嗟に調の体を押し倒した。直後先程まで調がいた場所を、サーベルの刃が通り過ぎ切歌の背中を僅かに切り裂く。

「ぐぅっ!?」
「切ちゃんッ!?」
「だ、ダイジョブ……ちょっと掠っただけデス……」

 実際切歌は背中の表面を僅かに切り裂かれただけで済んだ。出血も酷くはないし、直ぐに自力で立てる程度のダメージにしかなっていない。
 だがその間にミラアルクは、現れたベルゼバブにより腕を掴まれ引き摺られるようにその場から動かされていた。

「ま、待ってくれッ!? まだ稀血が……」
「それならもう彼女らが既に回収した」
「え?」
「お待たせ、ミラアルクちゃん」

 新たに響く声。それはメリハリの利いたボディに黒い肌のエキゾチックな雰囲気を放つ妖艶な黒髪の女性だった。唇に引いたルージュが一際目を引く女性の傍には、ケースを腰掛けにしているエルザの姿も見える。

「ミラアルク、大丈夫でありますか?」
「エルザ……それにヴァネッサも……」
「ミラアルクちゃんが騒ぎを起こしてくれてる間に、エルザちゃんと一緒に目的の物は確保できたわ」
「後はここからずらかるだけであります」

 それは本来であれば喜ぶべき情報であった。実際先程まではミラアルクも稀血さえ手に入ればそれでいいと思っていた。
 だがここに来て彼女の中には迷いが生じていた。先程調と切歌から齎された、彼女達の体を治す事が出来る錬金術師。その人物に頼れば、もうこれ以上こんな連中の小間使いなどしなくてもいいのではないか?

 その迷いを感じ取ったのかは不明だが、ベルゼバブは早々に3人をその場から離れさせた。

「ワイズマン様からの命令だ。お前らはさっさと帰れ。ここに居ても邪魔になる」
「させると思ってんのかよ」

 ミラアルクだけでなく、エルザと颯人達は初めて見る顔のヴァネッサ。ここで彼女達を逃がせば後々面倒な事になりそうだと、颯人はこの機に彼女達との事に関しては決着を付けようとベルゼバブの妨害を押し退けて3人ないし誰か1人だけでも確保しようと動いた。だがその彼の前に、大剣を振り下ろすオーガが現れる。

「ゼアァァァァァッ!」
「ッ! チィッ!」
「ハヤトッ!」

 ギリギリのところでオーガの存在に気付いた颯人は、進行を止め転がる様にしてオーガの一撃を回避。そこに更にオーガとベルゼバブからの追撃が来そうなのを見て、ガルドはガンモードにしたマイティガンランスの砲撃で敵幹部の2人を遠ざける。

「颯人さんッ!」
「無事デスかッ!」
「あぁ、助かったガルド。しかし……」

 現れたベルゼバブとオーガ。ベルゼバブの口ぶりから察するに、ワイズマンが何やら入れ知恵をして彼らをここに送り込んだのだろう。

――って事は、ワイズマンもヴィジョンの魔法持ってやがるな? くそ、面倒くせぇ……――

 仮面の奥で顔を顰める颯人の前で、ヴァネッサがテレポートジェムを取り出した。この場はベルゼバブ達に任せて、自分達は逃げるつもりらしい。
 それを見て調と切歌は3人を引き留めようとした。

「ま、待って!」
「待ってくださいデス! あの人ならあなた達の体も……!」

 アリスならば彼女達の体を治せる。そう伝えようとした2人だったが、その事を知っているのはミラアルクだけだった為ヴァネッサは彼女達の言葉には聞く耳を持たずその場を転移してしまった。

 残されたのはS.O.N.G.の4人とジェネシスの2人のみ。数の上では4対2で颯人達が有利に見えるが……

「さて、それでは……」
「ここからは俺達が相手だッ!」

 オーガがフィンガースナップで指を鳴らすと、周囲を取り囲む様にメイジ達が姿を現す。全員琥珀のメイジではあるが、これまでの琥珀メイジとは放たれる気迫が違った。

 この光景に、颯人は小さく鼻を鳴らしながらウィザーソードガンを構え直しながらぼやいた。

「や~れやれ……幕引きにはまだ早いってか」

 そのボヤキを合図にしたように、メイジ達は一斉に颯人達に襲い掛かるのだった。 
 

 
後書き
と言う訳で第209話でした。

因みに原作ではこの辺で訃堂が翼の心を揺さぶる様に通信してきていますけれど、本作ではミラアルクの洗脳が上手くかかっていないので大人しいです。

病院襲撃には原作通り切歌と調の他に、颯人とガルドも参戦。透は別件で何か起きた時の為にお留守番してます。

治療可能な人物が居るかもと言う情報に揺れ動くミラアルクでしたが、ここですんなり終わる程甘くはありません。今回はまだ説得失敗の段階。彼女達の説得はここからが本番です。

執筆の糧となりますので、感想評価その他よろしくお願いします!

次回の更新もお楽しみに!それでは。 
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