神々の塔
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第七十話 妖精王その五
「ほんまな」
「この塔の踏破も難しいな」
「そや、それでや」
それ故にというのだ。
「ほんまな」
「心がどうかやな」
「諦めへんってこともな」
まさにとだ、シェリルは話した。
「何よりも難しいともな」
「言えるな」
「それが一番の障壁かもな」
「諦めんことか」
「そや、私等は八割超えた」
この塔のというのだ。
「それやとな」
「あと二割近くを踏破する」
「そうすることが大事や」
「そやな、しかしな」
ここで施はシェリルの言葉を受けたうえでこんなことを言った。
「自分思うけどこうした試練ってやってると心が確かになってくな」
「それどういう意味?」
綾乃は施のその言葉に顔を向けて尋ねた。
「一体」
「いや、人って歪んだ奴もおるやろ」
施は綾乃にこう返した。
「どうしても」
「そうした人確かにおるね」
「そうした奴でもな」
「訓練をして」
「身体にな」
それに加えてというのだ。
「心もな」
「鍛えると」
「そうしてくとな」
まさにというのだ。
「ほんまな」
「歪んだ人でもやね」
「訂正されるわ」
こう言うのだった。
「ほんまな」
「そやね」
綾乃も確かにと頷いた。
「人って訓練してると」
「それがトレーニングでも鍛錬でもな」
「自分を鍛えてると」
「身体が鍛えられるだけやなくて」
それに加えてというのだ。
「心もな」
「整うね」
「そやからな」
だからだというのだ。
「ほんまこうした場所を進むこともな」
「ええね」
「歪んでてええことないわ」
施は眉を曇らせて言った。
「心がな」
「正直世の中明るく見られへん様になるからな」
中里も言ってきた。
「心が歪むと」
「ええことでもな」
「正しくな」
「ええ様に見られへんでな」
「そうなってな」
そうしてというのだ。
「悪いことばかり言って」
「周りからも疎まれてな」
「ええことないな」
「色々なこと知って」
中里はこうも言った。
「視野を広く持つのはな」
「ええな」
「しかしな」
「歪むとな」
「あかんわ、世の中の清濁美醜を知るべきやが」
いいものも悪いものもというのだ、世の中というものは善意だけでなく悪意も多くあるからである。
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