神々の塔
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第六十九話 トリックスターその六
「ほんまに。ただ」
「ただ?」
「実は妻女武器持ってる神具の子おらへんかったさかい」
「芥川達と一緒になるまでやな」
「それで玲子ちゃんが来てくれるまで」
それまではというのだ。
「そやったさかい」
「戦のことはやな」
「不安やったわ、太宰君は政治家であって」
職業がぞうであってというのだ。
「戦は基本せえへんし」
「ああ、そういえば戦に出たってな」
中里が言ってきた。
「あいつは諸勢力との戦の時だけやったな」
「あの時だけか、あの時はな」
施も言ってきた。
「日本は兵が少なくてな」
「もう強みである星のモンの数をや」
「最大限出して戦ってたな」
「色々戦術で工夫してな」
それと共にというのだ。
「ほんまな、日本の星のモンは全員や」
「用いてたな」
「数でそれも圧倒的に勝る自分等相手にな」
その時は敵であった施にだ、中里は笑って話した。
「猫の手も借りたい位やったからな」
「宰相の手も借りたな」
「文官が本文の連中もな」
その筆頭が太宰であることは言うまでもない。
「それこそや」
「総動員してやな」
「戦ったわ、太宰は戦関連の特技は弱い」
他の星の者達に比べてというのだ。
「ステータスもや」
「戦向きやないな」
「実際な、しかし指揮自体は出来て」
軍のそれのというのだ。
「術も使えるさかいな」
「戦ってもらったな」
「そうしたわ、ただ一騎打ちとか格闘戦はな」
「出来へんな」
「武器を使うことすら出来ん」
「刀剣もやな」
「身に寸鉄も帯びへんで」
そうであってというのだ。
「ほんま戦はな」
「不向きやな」
「政に特化してる」
中里は言い切った。
「そやから留守は任せられるが」
「政はな」
「戦はな、国家戦略はちゃんと理解してても」
そうであってもというのだ。
「これがな」
「軍を率いて戦うことは不得意で」
「無闇に兵を動かさへん様にしてるわ」
今の太宰はというのだ。
「幸いあいつ自身わかってるし」
「そのことがな」
「そやからな」
「そのこともええな」
「己を知ってる」
アレンカールが言ってきた。
「何でもあらへん様でね」
「大事なことやな」
「これが出来てたら」
それならというのだ。
「それだけでね」
「ちゃうな」
「ええ」
まさにというのだ。
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