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ハッピークローバー

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第百三十話 寮生の弁当その二

「けれどね」
「沢山食べた後すぐに身体動かすなら」
「お散歩とか軽い運動して」
「そしてね」
「腹ごなしすることね」
「歩いてもね」
 それだけでもというのだ。
「いい運動だしね」
「それね、歩いてもね」 
 理虹も確かにと応えた。
「いい運動になるからね」
「だからね」
「どんどん歩くことね」
「怪我のリスクも少ないしね」
「ただ歩いてるだけだとね」
「こけたりしない限りね」
「交通事故とかね、そうでもないと」 
 ただ散歩しているだけではというのだ。
「怪我もね」
「しないから」
「お散歩はいい運動ね」
「歩くだけでよ」
 鹿児島の娘は理虹に話した、話す言葉は鹿児島訛りがあるがそれはかなり弱くなっているので理虹にもよくわかった。
「本当に違うから。西郷さんもね」
「あんた西郷さん好きね」
「鹿児島で嫌いな人いないわよ」 
 理虹にこう返した。
「もう何といってもね」
「鹿児島っていうと西郷さんね」
「私は大久保さんも好きだけれど」
 西郷と共に幕末維新で活躍した彼もというのだ。
「あの人は人気がなかったから」
「最近再評価されてるって?」
「そうなってきているけれど長い間ね」
「評判が悪かったっていうか」
「不人気だったのよ」 
 このことは生前からだった。
「最後西郷さんと袂分かったしね」
「西南戦争で」
「そうなったこともあって」
 それでというのだ。
「大久保さんはね」
「人気がなかったのね」
「それで西郷さんはね」
 翻って彼はというと。
「鹿児島じゃ何と言ってもね」
「最高のヒーローよね」
「それで私も西郷さん好きだけれど」
 こう前置きして話すのだった。
「あの人も維新から太って」
「凄い大柄だったのよね」
「一七八あったのよ」
 当時の日本人の成人男性の平均身長は一五五程だった、尚大久保は一七七であり二人共かなり目立ったらしい。
「あの人、それで維新から忙しくなって」
「身体動かす機会減って」
「座ってのお仕事ばかりでね」 
 それまでは常に動いていたがだ、幕末の激動の中で。
「食べる量は変わらなくて」
「それでなのね」
「太ってね」
「ダイエットでお散歩したのね」
「犬連れてね」
「西郷さんというと犬よね」
「上野の銅像ね」 
 尚この銅像を細君が観て似ていないと言ったと言う、実は弟の西郷従道をモデルにしたと言われている。 
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