リュカ伝の外伝
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他人の男女関係に失礼な思惑を混ぜてはダメ
(グランバニア王都:GEOビル)
ルディーSIDE
「……っと、言うわけで僕の脱童貞は、親友の彼女のロストバージンです」
「………………」
ほぼ一方的に僕だけが喋って、現在の状況を説明という名の相談した。
「困ったなぁ……僕は他人の女に手を出さないから、この手の経験値は低いんだよなぁ。他に相談相手は居なかったのかよ?」
「居たら苦労しませんよ。ってか、そんな経験値が高い人は近場に居ないでほしいです……今回は例外としても、僕的には仲良くなれないでしょうから」
「ば~か! その筆頭に今なってるじゃんか(笑)」
「あ……あははははっ……確かに(失笑)」
「NTRに関してなら、僕にマウントを取れるよ」
「嬉しくないですねぇ……それに総合的の事なら、僕はまだ足下にも及ばないですからね……ウルフ閣下よりかは上に出れたくらいかな?」
「……? 何でウルフよりかは上になれるんだ?」
「え……? だってあの人って女性経験は皆無でしょ?」
「はぁ? 何でそうなるの?」
「だって失礼ですけども、あの人が女性にモテるとは思えません」
「お、お前さぁ……意外に失礼な事を思ってたんだな!?」
「はい。失礼であることは承知してました……けど僕は本当にウルフ閣下を敬愛してますよ。そこは揺らぎ在りません!」
「別に力説しなくても信用するけど……アイツ(ウルフ)彼女居るよ」
「………………えぇぇぇ!!! う、嘘だぁ!?」
一緒に居たって嫌味しか言わない人にぃ!?
「本当だよ。数人居るし、何なら孕ませてもいる!」
「は、孕ま……!? けっ……結局僕は、女性絡みでもウルフ閣下の足下にも及ばないんですね!」
「何お前……ウルフに女関連でマウントを摂りたかったの?」
「……コレ関連なら勝てると思ってましたから」
「でもアイツ(ウルフ)……卒業は12歳の時だからね」
「じゅ、じゅうにさいって……早すぎですよ!」
「モテる男は羨ましいよなぁ!(笑)」
「もしかして若すぎて今みたいな性格では無かったんですか?」
「う~~~~ん……確かに今よりかはマイルドだった……かもな」
「だからですよ! だって……」
「でも完成された性格になってからもモテてるよ」
「う~~~~ん……この世は何か間違ってませんか?」
「そんな間違った世の中だから、お前は自分の意思とは関係なく親友の彼女をNTRったの?」
「ち、違いますって! 何度も言いますけど、昨晩の僕等に……少なくとも僕の方には、性的欲求は存在しませんでした! 山の上に降った雨が、湧き出て集まり大河になって海へ流れる様に、自然な流れでベッドインしてたんです! だから悩んでいるんですよぉ!」
「解った解った……(笑) 詩的な表現で気持ちを表してもらえて十分に理解できた(笑) でも……そうなると……相談料は……高く付くなぁ(ニヤリッ)」
「ば、万事解決出来るのなら支払いますよ……さ、最悪はお祖父様に仕送りを強請りますから」
「けっ……金持ちの坊っちゃん思考が!」
「金持ちの坊っちゃんですからね!」
リュカ様はグランバニア王家に生まれたけど、若い頃から色々と苦労をしてきた……だから豊富な経験をされて信頼出来るのだろう。
「じゃぁ出かけるぞ」
「え! 今からですか?」
リュカ様は立ち上がり、側に置いてあったご自身のショルダーバッグを掴み、それを室内に設置されているロッカーに仕舞い込む。
ちゃんと施錠をしてロッカーの鍵をポケットに仕舞い込むと、僕の方へ向き直り目で何かを言ってきた。
あぁ、そうか……出かけるってそういう意味なんだ。
僕はロッカーに預ける様な荷物は皆無なので、そのまま立ち上がりリュカ様の下へ……
リュカ様も僕が付いてくるのを一度だけ目視すると、後は1階の事務室へ……
事務室へ入ると一目だけビアンカ様に目をやり、そのまま事務カウンター机の引き出しから何やら小さな四角い2つの装置がリングで纏まってる物を取り出した。
あの装置が何なのかは、実は知っている。
と言っても1つだけだけども……
そしてその知ってる1つは魔道車を開閉・起動&停止させる装置だ。
リュカ様が『S・E・K』と名付けたらしい。
“キー”……つまり鍵だ。
何の鍵か? P・P・Hの鍵だ。
S・E・K内部には小さな魔道結晶が入っており、魔力の無い僕でもP・P・Hの開閉くらいは出来る。動かすにはP・P・Hへ魔力を送らないと無理なので、僕には動かせない。
因みにもう1つの装置は何なのか解らない。
同じ様な見た目だけども、この事務所に魔道車はP・P・Hだけだしなぁ……別の遠い場所に置いてあるのなら、ここに仕舞っておいても無意味だしなぁ?
「事務員さん……ちょっと社長の僕は、悩める青少年を助ける為に出かけてくるよ」
「あの魔道車ってので? 何でワザワザ?」
「悩み事ってのは、ドライブ……魔道車の運転しながら訊いて応える方が良いんだ」
「……? 何処でも同じだと思うけど……」
「車窓の景色が変わる方が常に新鮮な気分で居られる」
「え!? アレ(魔道車)を動かしながら考え事や受け答え出来るの?」
「慣れれば出来るけど……」
「じゃぁ今度私も乗せてよ」
「そうだね……今度夫婦でドライブに行こうね」
リュカ様はS・E・Kを右手に握ると、空いた左手を奥様の右頬に這わせ寄せ、空いた右頬にキスをした。
一連の動作がスマートで格好いい。
「じゃぁ行こうか」
そう言って出口へ向かいながら、リュカ様はプーサン社長へと変身する。
だが変身後の動作も逐一格好いい。
そしてGEOビルの外に……
ビルを出て目の前の道路を横断する。
そこにはさっきも言ったがGEOの所有している土地で、現在はP・P・Hが駐車されている一階建ての建物が存在している。
その建物(駐車場という)に向かって社長は先程右手に握りしめたP・P・HのS・E・Kとは別の方の装置を向けて、中央付近に配置されているスイッチを押した。
“ピッピッ!”と大きめな音と共に、駐車場の門が自動で横にスライドして行く!?
もう何もかもが凄いなぁ……
アイデアはリュカ様発なのだろうけど、こう言う物も思い付いて直ぐに具現化してしまうんだなぁ……
思い付く事も、直ぐに作ってしまうう事も、どちらも凄い!
その凄さに呆けていると社長はP・P・Hに乗り込んでしまった。
僕も慌てて助手席に乗り込ませてもらう。
このP・P・Hを含めて何台かの魔道車に乗らさせてもらったけど、やっぱりGMのHanmmerと呼ばれている魔道車は大きくて広々している。
僕も免許が欲しいから。ザルツ君と一緒に教習所へ通い、そこの教習車に乗ってるけど狭く感じて物足りない。
免許を取得したらHanmmerを買いたいけど、これって魔力の無い僕には運転出来ないからなぁ……
乗り込みシートベルトと呼ばれる安全装置を自身の身体に這わせる様に設置したら社長に目配せで合図。
準備万端だった社長はP・P・Hの操縦桿(ハンドルと言う名称)の右横にあるスイッチを深く押す。
するとP・P・H内正面に配置されてる様々な計器に明かりが点る。
この明かりが点るのが魔道車が起動した合図だ。
運転席足下の発進ペダル(アクセルと言う名称)を踏み込めば魔道車は動く。物が物なので、動かし方を理解してない人はアクセルに触れては駄目だ!
因みに先程リュカ様が握り締めてた右手のS・E・Kは、キーと呼ばれているが所持しているだけでその効果を発揮し、近付くだけでドアの解錠等が出来、所持しながらアクセル横のスイッチ(エンジンスターターと言う名称)を押せばエンジンが掛かる。
社長はゆっくりとアクセルを踏み、目の前の道路へとP・P・Hを動かした。
駐車場から完全に出きると、今度はアクセルの右横に在るペダルを踏み込んでP・P・Hを止める。
因みにこのペダルは重要でブレーキと言う名称だ。
そんな重要なブレーキペダルを踏み込みP・P・Hを停止させながら、運転席の左……僕の座る助手席からは右の肘掛け部分の様な場所に設置してある、物入れの様な場所に置いてあったS・E・Kを手に取ると、駐車場の門を開けた方の装置を門に向けて待たす一手を押す。
するとまた“ピッピッ!”と鳴り今度は門が閉まって行く。
開けたら閉める……当然の事だ。
開けるだけの装置だったら意味が無い。
それでもワザワザ魔道車から降りなくてもいいのは便利で驚く。
だが社長は駐車場の門が間然に閉まりきるのを見守ったりはしない。
P・P・Hのアクセルを軽く踏み、そのままグランバニア王都内を快適に走行する。
リュカ様はこのグランバニアを発展させるにあたり、当初から魔道車の様な乗り物の事を考えてあったんだろう。
王都内(と言うより、現在も王国内に建設中)の道路は中央線(基本的に魔道車が通行する為様の広い道には引いてある)の左側を通行するルールになっている。
こんな大きな金属の塊が人々が生活する場所とかを移動するのだ……
各々が自由気ままに好きな場所を移動してたら大問題に発展する。
だからリュカ様は都市計画の中で道路を左側通行に設定した。
まだ世の中(グランバニア王都内限定を含む)には当然の如く魔道車は浸透してない。知識としての存在は、リュカ様を始め国を挙げて行っているから、殆どの人が目の前を高速で走って行った物(魔道車)の事は解るだろう。
でも実物を目の当たりにする機会はまだまだ少ない。
当然だが免許取得しなければ魔道車を購入しても宝の持ち腐れだし、その魔道車も致し方ない事だが高額な製品だ。
そんな風潮の中、僕を乗せたP・P・Hは所有者の運転で、颯爽と王都内の道路を駆け抜けて行く。
途中すれ違い様に見られる羨望の眼差し……たまらなく良い気分で在る!
ルディーSIDE END
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