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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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人生経験の差

(グランバニア城内:ルディー宅)
ルディーSIDE

色恋事で困ったときにはリュカ様に頼るのが最適!
世界中のどこに居てもそうなのだろうから、グランバニア国内に居るときは大いに頼るべきなのだ。
そして今の僕には一番適している。

だけど問題もある。
何ぞや……と言われて即答できる。
相手(リュカ様)はこの国の王様なのだ!

おいそれとお目にかかれるワケでは無いのだけど、それに輪を掛けて今日は会い辛いと思われる。
何が会い辛いのかと言えば、今日は『日曜日』!
普通にお役所は閉まっていて、直接王家のプライベートエリアに行くにはサラボナの代表であるお祖父様から直接連絡をしてもらわなければならないのだ。

当然だよね。
だって僕はそのお祖父様……所謂サラボナ代表のルドマン氏の孫でしかない。
グランバニアの王家にズカズカ身勝手に近付くなんて問題行為でしか無い。

では如何すれば良いのだろうか?
うん。それは賭に出るしかないのだ。
リュカ様が日曜日(休日)にも関わらず、個人的にGEO(グランバニア・エンターテインメント・オフィス)ビルに居る事に……



(グランバニア王都:GEO(グランバニア・エンターテインメント・オフィス)ビル)

誰か居る!?

無人の静まりかえったオフィス内を想像してここまで来たのだけれど、窓から室内の明かりが見えている。
昼間……ってかまだ朝(AM10:00は朝?)だけど、事務所と言う事で室内の明かりはともしてある。
まぁもしかしたら自主練を欠かさないプリ・ピー(プリンセス・ピープル)メンバーの誰かかもしれないけど……

因みにGEO(グランバニア・エンターテインメント・オフィス)ビル前の道を挟んだ向かい側は数週間前まで雑木林だったんだけど、プーサン社長が業者を雇って魔道車(まどうしゃ)の駐車場(?)ってのに作り替えてしまった。

一応土地取得とかの事柄はリュカ様がウルフ閣下を通じ(丸投げして)て取得したらしいけど、面積的にはGEO(グランバニア・エンターテインメント・オフィス)ビルと同じなので、現状は2倍の土地を取得しているプーサン社長。

一階建てではあるのだが、しっかりした建物。
その中に(プリ)(ピー)(ハンマー)が駐車してあり、その他にも何らかの機材的な物が置いてある。

グランバニア城内に住む者(僕の様な)や城内に勤めては居るが住まいは別で、魔道車(まどうしゃ)を購入して通勤等に使う人の為に、お城の南側……つまり正門側の道を挟んだ土地を大きく整地して、そんな人たち用の駐車場を建設する予定らしい。

僕も免許(魔道車運転免許証)を取得して魔道車(まどうしゃ)を購入したら、その駐車場を利用させてもらう事になるのだろう。
ザルツ君と一緒に教習所(魔道車運転免許取得学校)へ通っているが、その時が来るのを心待ちにしている……と言うか僕次第だね(笑)

さて……ザルツ君で思い出したが、今の僕はそれどころでは無いのだよ。
駐車場に停まっている(プリ)(ピー)(ハンマー)に背を向けて、僕は誰かが居る事が判明したGEO(グランバニア・エンターテインメント・オフィス)ビル内に入った。
一応ノックはして入るが、本命ノックは次の扉……事務室へ入る扉になる。

ノック後、室内に入り見回すと……事務員さんと目が合った。
GEO(グランバニア・エンターテインメント・オフィス)唯一の事務員さん……名前はルービスさん。
プーサン社長の奥さんで、皆さんからは『奥様』と呼ばれている。

何時も同じ場所に座り、業者さんとかが来ると受付とかをしている。
側には何時も付随しているのがホイミスライムのホイミンさん。
こちらは室内の至る所でフワフワしている。定位置は無いらしい。

「あらルディー君……如何したの日曜日なのに?」
「あ、いえ……社長を探してまして……寧ろ僕が訊きたいくらいですよ。奥様は日曜日なのに働いてるんですか?」

「日給をもらいたい為にね(笑)」
「なるほど……それは重要だ」
「まぁそれは半分(?)冗談で、社長が最近何かに真剣に取り組んでて、頻繁にここへ来るのよ。仕事(国政)はおざなりなのに、この事務所を手に入れてからは水を得た魚よ!」
「へぇ~……でも僕にとってはラッキーですよ」

「如何して?」
「社長に相談したい事がありまして……」
「リュカに相談!? ……って事は女がらみで失敗でもしたの?」
「な、何でそうなるんですか!? べ、別に他の事柄でも相談しますよ……リュカ様は頼りになるんですから!」

流石は奥様(ビアンカ様)だ……
動揺しまくってしまい、完全に相談内容の種類がバレてしまってるだろう。
細かい内容までは解らないだろうから、今晩にでも日給を貰うときに聞き出されてそうだ……恥ずかしいなぁ。

「ふ~~~~~ん……まぁいいわ。社長なら2階で真剣に何かやってるから、行って相談してきなさいな」
「そ、そうさせてもらいます」
もう目が興味津々。聞き出したくてウズウズしてるのが伝わってくる。


事務室を出て、直ぐ右の階段を上がる。
そして2階へ……そのまま二重扉を通ってスタジオ内へ。
プーサン社長の姿では無く、リュカ陛下の姿の男性が、ピアノを引きながら譜面台に置いてある五線譜面に何かを書き込み作業をしている。

誰が如何見てもリュカ様が作曲をしている。
だが目前の作曲者は、僕の登場で作業の手を止めてしまった。
完全に僕は邪魔者だ。

「お、お忙しいところ邪魔をしてしまって申し訳ございません」
「……いや、忙しいってワケじゃ無いからいいよ。でも今日は日曜日……折角の休日だろ? 友達と遊んだりとか……街に繰り出してナンパに勤しむとか……そういうのは良いの?」

「ふ、普段でしたら……僕もそうしたい所なんですけど、今日は大きな問題事に遭遇してしまいまして、リュカ様に是非とも相談に乗ってもらいたいと身勝手にも考えまして、邪魔な存在になる事を承知で来てしまいました。申し訳ないのですが相談を訊いていただけませんでしょうか?」

「………………」
何時もの様な優しげな目では無いが、真剣な眼差しで僕を見るリュカ様。
そして直ぐに作曲作業をしていた道具(主に譜面)をファイルにしまい、それをご自身のショルダーバッグに仕舞い込んで作業の完全な停止表明。

さらに立ち上がると僕の方へ……では無く、通り過ぎて二重扉の向こうに身を潜めてたビアンカ様を見つけ出し(と言うか気付かれてた)て真剣な表情で、「今から本当に重要な事柄を話し合うから、こう言う悪趣味な行為は止めなさい」と諭す様に言い付ける。

「は、はい……」
ビアンカ様もそれが解ったのだろう……
真剣な顔で1階へと戻っていく。
申し訳ない限りである。

重い二重扉を間然に閉め(施錠はしてない)てから、今度は扉から一番離れてるソファーへと行き腰を下ろす。
それを確認した僕は、一番手近に在ったパイプ椅子を掴みリュカ様が座るソファーの前へ設置……そしてそこに腰を下ろした。

準備は整った……
後は僕が相談内容をリュカ様に話すだけ。
簡単な事……

数時間前の事を言えば良いだけだ。
簡単なはずなのに……
半端なく恥ずかしくって言い出しにくい!

これ……本当に他人に言うべき事かなぁ!?

ルディーSIDE END



 
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