インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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初訓練
一夏とデュノアが遅れてやって来てからオルコットと凰は無駄口を叩いていたおかげで出席簿を食らった。
「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」
『はい!』
2クラス分の声が空に響く。ちなみに後ろでは殴られた2人が文句を言っていた。
「今日は戦闘を実演してもらおう。ちょうど活力が溢れんばかりの十代女子もいることだしな。―――凰! オルコット!」
「な、なぜわたくしまで!?」
それはさっきしゃべっていたからだろう。
「専用機持ちはすぐに始められるからだ。いいから前に出ろ」
それでも文句を言いながら前に出る2名。それを織斑先生が声をかけると―――すぐにやる気を見せた。
「やはりここはイギリス代表候補生、わたくしセシリア・オルコットの出番ですわね!」
「まあ、実力の違いを見せるいい機会よね! 専用機持ちの!」
あの変わりようからして、絶対に一夏関係だろう。
「それで、相手はどちらに? わたくしは鈴さんとの勝負でも構いませんが」
「ふふん。こっちの台詞。返り討ちよ」
「慌てるなバカども。対戦相手は―――」
相手の名前は空気を裂く音で聞こえなかった。
「ああああーっ! ど、どいてください~っ!」
俺は周りにいる女子を持てる分だけ持ってその場から離脱した。
「悪いな。別に触ろうとしたわけじゃない」
鏡と鷹月と本音を離しながらとりあえず謝っておく。尻とか胸とか触った覚えはないが、一応な。
視線を山田先生が墜落した方に向けると、そこにはラファール・リヴァイヴを纏った状態の山田先生が白式を纏ったままの一夏に蹂躙されていた。
「はぁ。どれだけラッキースケベをすれば気が済むんだよ、あの馬鹿は」
そう言うと同時にオルコットがレーザーを発射していた。
「ホホホホホ……。残念です。外してしまいましたわ……」
うわぁ。完全に切れているよ。
―――ガシーンッ!!
そして凰は《双天牙月》を連結させて投擲した。
「うおおおっ!?」
一夏は間一髪で仰け反って躱したが、そのまま戻ってくるのを―――
「はっ!」
―――ドンッドンッ!
山田先生が射撃でカバー。
「相変わらず、あの人はスゲーな」
「え? そんなにすごいの?」
鷹月がそう聞いてくるので、俺はすぐに肯定した。
「あの人は普段からは想像できないかもしれないが、ISに乗るとすごいんだ。俺だって一夏みたいに機体に救われなかったら負けていたからな」
そしてすぐに気付く。
「あ、これ―――山田先生の無双ターンだわ」
■■■
俺の言ったとおりになり、山田先生は無双した。専用機2名相手に楽勝ち。
「さて、これで諸君にもIS学園教員の実力は理解できただろう。以後は敬意を持って接するように」
特に射撃型は大事だろう。格闘は織斑、射撃は山田ってか?
「専用機持ちは織斑、風宮、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰だな。では6~7人グループになって実習を行う。各グループリーダーは専用機持ちがやること。いいな? では分かれろ」
織斑先生の言葉ですぐに女子たちが分散される。
「うん。俺がどれだけ人気がないか改めて認識させられたよ」
そう。俺のところに来たのは本音と鷹月だけだった。
「ちなみに私たちはここのグループなんだよ~」
「あ、うん。別にそんなことを言われても、反応しづらいだけだから」
むしろ、もうこのままでいいやとすら思える。
結局呆れた織斑先生の指示で全員が即座に移動し、すぐに収まった。約数名がぶつくさと文句を言ってくる。
「はいはい。そんなに俺とするのが嫌ならさっさと終わらせようぜ」
俺はそう言いながらリヴァイヴを運んできた。
すると、さっきまで一夏と篠ノ之のやり取りを見ていた谷本が質問してきた。
「風宮くんも、胸は大きい方がいいの?」
「う~ん」
ちなみに今は(順番は適当なので)谷本なのだが、なんと答えればいいのかわからないのでありのまま答えた。
「個人的にはそれは気にしないかな。まぁ、生まれてくる子供のことを考えたらある程度はあってくれたほうがいいんだろうけど。あ、豊乳手術とかはナシの方がいいな。やっぱりオリジナルの方がいいと思う」
これはあくまでも持論だしな。
すると、全員が思うところがあるのか、自分の視線を落としていた。
「さて、訓練を始めるか」
この時、どういうことかスムーズに終わった。………そんなに俺とは嫌か?
■■■
「では午前の実習はここまでだ。午後は今日使った訓練機の整備を行うので、各人格納庫で判別に集合すること。専用機持ちは訓練機と自機の両方を見るように。では解散!」
その声を合図に全員が移動を開始する。昼休みでもあるために食堂派の人々は急いでいた。
ちなみに俺は普通にこういう日は購買で買い物を済ませている。腐らないようにちゃんと工夫済みだ。
「あ、祐人。お昼一緒にどうだ?」
単独で取ろうとしたら後ろから声をかけられた。
「悪い。俺はパス」
そう言ってぶらりとベンチを探す。後ろから「最近付き合い悪いぞ!」とか叫んでいる馬鹿がいるが―――お前のせいだと言っておく。
「か、ざ、み~ん!」
本音が後ろから俺の背中に飛び乗った。
「本音。はしたないぞ。少しは女として自覚を持ちなさい」
そう言いながら鎖で本音を外した。周りからは「あの人、化け物よ」とか聞こえるが、ただの遠隔展開だっての。
俺は格納庫から近いベンチに腰を降ろし、そこで焼きそばパンを食べる。
「というか、本音は友だちと一緒に食べなくていいのか?」
「かざみんと食べたいんだよ~」
「ふ~ん」
適当に流す。あんまり興味はない。
(俺の人生、どうせ実験動物行きだろうし)
まぁ、そうならないために日頃からの鍛練は欠かしていないけど。
そして結局、その昼休みは本音と行動していた。………何故だ。
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