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インフィニット・ストラトス~黒き守護者~

作者:eibro
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金髪貴公子(?)と銀髪軍人

 季節は夏を目の前に控える梅雨。そして6月に突入して各人のISスーツを申し込む時期でもある。

「やっぱりハヅキ社製のがいいなぁ」
「え? そう? ハヅキのってデザインだけって感じしない?」
「そのデザインがいいの!」
「私は性能的に見てミューレイのがいいかなぁ。特にスムーズモデル」
「あー、あれねー。モノはいいけど、高いじゃん」

 だからこうして女子たちがワイワイと騒いでいる。

「そういえば風宮君のISスーツってどこのやつなの? 見たことない型だけど」

 本音と一緒にいた鷹月が俺に話しかけてきた。

「俺のやつは完全な特注品。元の会社も何もなし」

 なにせ自分が持っていたやつだからな。

「でも山田先生も使っているな。違和感あるだろうけど、大丈夫かな? で、実際どうなんです?」
「かなり使い心地がいいですよ。以前なら胸が少しキツかったのですが、今ではそんなことはありませんので」
「へー」

 胸の話をされて俺にどうしろと?

「諸君、おはよう」
「お、おはようございます!」

 織斑先生の登場により、全員が席に着く。

「今日から本格的な実戦訓練を開始する。訓練器ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるように。各人のISスーツが届くまでは学校指定のものを使うので忘れないようにな。忘れたものはかわりに学校指定の水着で訓練を受けてもらう。それもないものは、まあ下着で構わんだろう」

 眼福じゃ~とでも言えばいいのだろうか?

「では山田先生、ホームルームを」
「は、はいっ」

 連絡事項を言い終えたらしい織斑先生が山田先生と変わる。その際にメガネを拭いていたらしく、すごく慌てていた。忙しいのはわかりますが、事前にしておいてください。

「ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します! しかも2名です!」

 俺は即座に耳を塞いだ。が、それでも女子たちの驚愕する声は容易に聞こえた。

(普通は分散させるだろうに、俺と一夏のデータが目的だろうな)

 そう思っていると、教室のドアが開いて2人の生徒が入ってきた。

「失礼します」
「……………」

 クラスに入ってきた2名の内、1人は男子の制服を着ていた。

(でもあれ、男というより女だよな?)

 中性的な顔立ちを見てふと思う。あれは女だと思う。

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」
(デュノア―――つまりフランスのデュノア社がスパイを送り込んできたというのか。あそこの社長も中々やるな)

 傭兵時代で情報収集していたが、デュノアのところに嫡男がいるとは聞いたことがなかった。ということは性別を偽っていると予想できる。

(まぁ、俺に関わらなかったらいいか………)

 ディアンルグのデータが必要なら、問答無用で潰す。物理的にも、な。
 俺は耳を塞ぎながらそう思い、殺気を沈める。

「男子! 3人目の男子!」
「しかもうちのクラス!」
「美形! 守ってあげたくなる系の!」
「地球に生まれて良かった~~~!」

 うるさいな、相変わらず。

「あー、騒ぐな。静かにしろ」

 面倒くさそうに織斑先生がぼやいた。うん、俺も同感だ。そんなに男に飢えているなら街に出て誘えばいいじゃん。

「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介が終わってませんから~!」

 そしてもう1人―――明らかに軍人だとわかる雰囲気を醸し出している。見た目は美少女だが、色々と損をするタイプだろうな。綺麗な銀髪が勿体ない。しかも黒眼帯をしているところを見て、最近知った『憤怒の○ース』を思い出す。

「……………」

 そして当の本人はまったく口を開かない。それを見かねた織斑先生が声をかけた。

「……挨拶をしろ、ラウラ」
「はい、教官」

 どうやら知り合いらしい。そういえば、さっき織斑先生を見ていたな。

「ここではそう呼ぶな。もう私は教官ではないし、ここではお前も一般生徒だ。私のことは織斑先生と呼べ」
「了解しました」

 どうやら複雑な経緯を持っているようだ。

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「………………」

 クラスメイトたちが沈黙した。次の言葉を待っているだろうが、期待は薄いだろうな。

「あ、あの、以上……ですか?」
「以上だ」

 一夏と同等の長さだった。というか山田先生をいじめてやるなよ。その人、すごくデリケートなんだぞ。
 すると、ボーデヴィッヒが一夏を見て反応した。

「! 貴様が―――」

 ―――ジャラッ

 ボーデヴィッヒは一夏を叩こうとしたのだろう。だがそれは一本の鎖によって阻まれた。その鎖は―――俺の席から伸びていた。正しくは遠隔展開をしたんだが。

「………外せ」
「断る。それに―――殴ったら印象が悪くなるのはお前だろ? というか初対面の相手を殴るって―――お前はレズかSなのか?」
「私は認めないだけだ。こんなやつがあの人の弟であることをな」
「おい。ブラコンの御前だぞ。言葉を控えろ」

 俺がそう言うと、織斑先生が睨んできた。いや、アンタってブラコンだろ?

「あー……ゴホンゴホン! ではHRを終わる。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は2組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」

 手を叩いて織斑先生が行動を促す。俺はすぐにタオルと水筒を入れた鞄を持ってすぐに急ぐ。

「おい織斑、風宮。デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろう」
「じゃあ一夏。後はよろしく」

 そう言って教室を飛び出した。待っていられない。場合によってはそのまま群がられてゲームオーバー。

「―――って、置いていくなよ!!」

 後ろから声をかけられる。が、

「悪いな。あんな「ああっ! 転校生発見!」ちぃっ」
「しかも織斑君と一緒!」

 俺は急いでその場から離脱する。

「って、置いてくな!!」

 後ろからの声を無視して、ちょうどいい窓を見つけてそこから脱出した。

「うおぉぉぉぉい!!」

 某サメな人の叫び声が聞こえるが、声が違うし気のせいだろう。
 俺は気にせずに更衣室に移動して、着替えてからグラウンドに向かった。

「風宮。ほかの二人はどうした?」
「俺はショートカットしてきたので知りませんが捕まったんじゃないですか?」
「面倒を見ろと言っただろう」
「それ以前に女子たちに追わないように言えばいいと思います。まぁ、鎖は残してきたので大丈夫だとは思いますが」

 そして案の定、一夏たちは遅れてきた。 
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