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神々の塔

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第五十二話 名前その十

「寄生虫をです」
「殺すな」
「そうして食べます」
「起きた世界の当時ではそこまでな」
「考えてへんかったので」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「生の獣の肉もだ」
「食べてましたか」
「そのままな」
「ほな川魚も」
「気が向けばそうしていた」
 刺身が喰いたい時はというのだ。
「そうだった」
「そうでしたか」
「そしてそれが誤解されたか、しかしな」 
 それでもというのだ。
「山の民も西の者達もな」
「獣の肉を食べて」
「それが間違えられたのやもな」
「人を喰らうと」
「うむ、しかしわしも周りの者達も人を喰らう趣味はない」
 決してというのだ。
「どの種族も筋張っていて肉付きが悪く」
「まずそうですか」
「そう思う」 
 こう言うのだった。
「それ以前に神霊としてな」
「人は喰いませんか」
「左様、生贄も求めぬしな」
 この世界の神霊達はだ。
「人を喰らうより獣だ」
「やっぱりそちらですか」
「家畜もよい、この戦の後はすき焼きだ」 
 酒呑童子は笑って言った。
「ここにいる者達と共に喰うぞ」
「すき焼きですか」
「酒は日本酒だ」
「血の様な赤ワインやなくて」
「そちらだ」
 こう言うのだった。
「これから行う戦の後はな」
「そうですか」
「そしてだ」 
 そのうえでというのだ。
「思う存分楽しむぞ、そうする為にな」
「これからですね」
「戦う、準備はいいな」
「何時でも」
 シェリルは笑って応えた、こうしてだった。
 一行は鬼の神霊達との戦に入った、神霊としての鬼達は剛力でかつ頭も切れた。そうして術も使うが。
 彼等と戦いつつだ、中里は言った。
「鬼の様に強いと言うが」
「実際強いな」
「ほんまな」
「その言葉伊達やないわ」
「日本の言葉のまんまやな」
「その通りやな」
 羅と施、メルヴィルとトウェインに応えた。
「この強さは、しかしな」
「ああ、それでもな」
「強うて諦めるか」
「そんな選択肢はないわ」
「この塔においてはな」
「そやからな」
 中里はさらに話した。
「勝つで、絶対に」
「鬼は確かに強い」
 ここで中里が言ってきた。
「しかしやっぱりや」
「弱点があるな」
「よくお豆や桃が嫌いと言うな」
「どっちも今持ってへんやろ」
「誰もな、しかしその戦ぶりはどや」
 鬼達のそれはというのだ。 
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