神々の塔
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第五十話 眠りと死その一
第五十話 眠りと死
中里は今自分達がいる森そのままの階の中で言った。
「ここは欧州の」
「ギリシアの感じやね」
綾乃が応えた。
「こっちの世界の」
「そやな」
「何でも」
綾乃はさらに言った。
「起きた世界でもギリシアもスペインもかつては」
「ああ、セルバンテス達が言うてたな」
まさにとだ、中里は応えた。
「あいつの祖国スペインもギリシアも」
「昔は緑豊かで」
「岩ばかりの国やなかったって」
「何かギリシアとかスペインって」
綾乃は起きた世界のその国々の話をした。
「イメージ的には」
「岩場が多いな」
「そうした感じやけど」
「昔はな」
「木が多くて」
「今よりな」
「緑豊かやったね」
「それが伐採していって」
その木達をというのだ。
「気付いたらな」
「ああなってたんやね」
「そや、この世界では緑豊かなままやが」
それでもというのだ。
「起きた世界ではな」
「そやね」
「残念やな、やっぱり木が多いとな」
「それだけ自然豊かで」
「空気を奇麗にしてくれて」
植物が二酸化炭素を吸収し酸素を生み出すことも話した。
「災害もな」
「洪水と科も防いでくれて」
「山に木があるとな」
「そうしてくれるさかい」
「ええからな」
「木が多いに越したことないわ」
中里は言い切った。
「そう思うとこの階は嬉しいわ」
「そのギリシアの森で」
「ここもまた迷宮で」
それでというのだ。
「下手すると迷って敵も出るが」
「それでも緑が多いと」
「迷宮であってもな」
そうであってもというのだ。
「嬉しいわ」
「そやね」
綾乃もそれはと応えた。
「それだけで、ただ」
「ただ?」
「何でこの階ギリシアの森かっていうと」
まさに今にもサテュロスやニンフが出そうである、そうした雰囲気に満ちている。
「次の神霊さん達が」
「そや、ギリシアの神様達や」
芥川が答えた。
「まさにな」
「そやね」
「それでや」
まさにその為にというのだ。
「ギリシアの森や」
「それが迷宮になってるね」
「そういうことや」
「そやね」
「ほんま何かな」
中里は周りに気の網を張りつつ言った。
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