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神々の塔

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第五十話 眠りと死その二

「出そうやな」
「ギリシアの森もモンスター多そうやな」
 施は冷静に言った。
「どうにも」
「そやな」
「もうな」
 それこそというのだ。
「今にもや」
「僕の言う通りにやな」
「モンスターが出てもな」
「木々の間とかな」
「上とかな」
 施は葉に覆われたそちらも見て言った。
「出そうやな」
「ほんまな」
「ほんま森も迷宮やな」
 トウェインはしみじみとした口調で述べた。
「木々の間で迷うし」
「何時何処で何が出て来るかわからん」
「そう思うと厄介なな」
「迷宮やな」
「これもこれで。罠もや」
 トウェインは横から来た矢を右手で掴み取った、そうしてその矢を放り捨ててからまた言ったのだった。
「こうしてや」
「あるな」
「アーチャーとかが放ったんやなくて」
「横を通ったら来る」
「そんなもんもや」
「普通に置けるな」
「こうして歩いていても」
 メルヴィルは下の土、道になっているそこを見て話した。
「落とし穴があって」
「そこにさらにやな」
「竹槍があったりとかな」
「普通にあるな」
「そやからな」
「森は迷宮やな」
「これもまたな」
 こう言うのだった。
「ギリシアのそれも」
「自然も迷宮を作る」 
 羅も周囲を警戒しつつ語った。
「ほんまそやな」
「その通りやな」
「それでかつてのギリシアは」
「こうした森が多かったんや」
「そやな」
「植林せんとな」
 さもないと、というのだ。
「ああしたや」
「荒れ地になるな」
「どの国でもな」
「そういうことやな、しかし」 
 羅はこうも言った。
「ギリシアの神様達って自然豊かな場所におるからか」
「ああした性格っていうんか」
「神話読んでるとな」 
 ギリシア神話、それをというのだ。
「ほんまな」
「感情だけやな」
「理性なんてな」 
 それこそというのだ。
「全くないやろ」
「人間含めてな」
 ギリシア神話の特徴の一つである。
「もう感情が湧き起こったらな」
「それで、やろ」
「人殺して子供作って」
「そんなんばっかりやな」
「無茶苦茶やな」
 中里が見てもだ。
「つくづく」
「そこに法はあるんかというと」
「ないわ」
 シェリルが言い切った。 
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