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星河の覇皇

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第八十五部第四章 メキシコの思惑その二十三

「兎角です」
「そうした人物こそが」
「厄介です」
「快楽犯罪者というものは」
「いて欲しくないです」
「全くですね」
 こう話した、そして。
 アラガルはドトールに難しい顔で話した。
「切り裂きジャックですが」
「その快楽殺人者ですね」
「都市型犯罪のはじまりとも言われる」
「彼のことですか」
「一体何者か」
「そのことがですか」
「私は気になっています」
 こうドトールに話した。
「どうにも」
「そうですか」
「その正体についても」
「そもそも殺人の動機がですね」
「わからないですし」
「そうですね」
 ドトールも言った、この切り裂きジャックについてはこの時代においても色々言われそして答えが出ていないのだ。
「私もです」
「真犯人も動機もですね」
「はっきりしたことが」
 どうにもというのだ。
「わかりません」
「左様ですか」
「娼婦に恨みを持っているとです」
 犠牲者であった彼女達にだ。
「そう言っていますが」
「警察に送って手紙で」
「あの手紙についても」
「ジャック本人だったか」
「それもです」 
 このこともというのだ。
「どうもです」
「わからないですね」
「真実は、そして動機は」
 これはというのだ。
「わからず」
「凶器は鋭利な刃物ですが」
「そこからも言われていますね」
「解剖医だの肉屋だの」
「肉屋にしては」
 アラガルに難しい顔で話した。
「どうもです」
「何かが違いますね」
「当時の肉屋にしては」
「そして解剖医にしても」
「そちらから考えても」
 どうにもというのだ。
「何かがです」
「違うとですか」
「思いますし、そして手際が」
 殺人のそれがというのだ。
「あまりにもです」
「よ過ぎますね」
「まさに一人でいた僅かな間に」
 犠牲者がだ。
「切り刻んで、です」
「内臓まで出して」
「その場を飾る様にしています」
「それは、ですね」
「普通の人間の手際とは」
 とてもというのだ。
「思えないです」
「異常者にしても」
「慣れている、そして」 
 ドトールはさらに話した。 
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