星河の覇皇
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第八十五部第四章 メキシコの思惑その二十四
「血や内臓の匂いはかなり慣れませんと」
「辛いものがありますね」
「あれは独特のものがあります」
その匂いはというのだ。
「実に」
「それに抵抗がない」
「確かに肉屋や解剖医ならですが」
「有り得ますか」
「ですが」
それでもというのだ。
「あれはそうした職業的なものを抜いても」
「おかしいですか」
「そう思います、血や内臓の匂いに慣れていて」
「かつ手際がいい」
「そしてです」
さらにというのだ。
「娼婦に恨みがあるとしたら」
「限られますか」
「そうなりますが」
「それが誰かはですね」
「私にもわかりません」
「そうですか」
「はい、ですから」
わからない、だからだというのだ。
「私もです」
「切り裂きジャックにはですね」
「興味を持っています」
「そうでしたか」
「そして異常犯罪者のサンプルとして」
このことからもというのだ。
「仕事でもです」
「参考にしていますか」
「はい」
まさにというのだ。
「快楽殺人者の」
「サンプルですね」
「それの原点とも言えますので」
歴史的なそれだというのだ。
「ですから」
「そういうことですか」
「正体がわからないだけに」
「そうなのですね」
「切り裂きジャックは正体はわかっていません」
このことは事実だというのだ。
「しかし多くの教訓を残しました」
「快楽殺人者とは何か」
「それを考えるにあたって」
「サンプルになってですね」
「教訓を残しました、その教訓をです」
まさにそれをというのだ。
「私もです」
「活かしていっていますか」
「他にも多くのサンプルをです」
それをというのだ。
「頭に入れています」
「左様ですか」
「若しも」
ドトールはさらに言った。
「切り裂きジャックがいなかったなら」
「サンプルがですか」
「しかも極めて貴重なものが」
それがというのだ。
「一つです」
「なくなっていましたか」
「そしてその分です」
「犠牲者がですね」
「出ていたかも知れません」
「切り裂きジャックは捕まらずとも」
「教訓はです」
こうアラガルに話した。
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