星河の覇皇
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第八十五部第四章 メキシコの思惑その二十二
「こうした快楽犯罪者がです」
「最もですね」
「私は厄介だと考えています」
「自分の楽しみの為に詐欺や窃盗を行い」
「殺人もです」
「快楽殺人者、これはです」
快楽犯罪者の中でも最も悪質と言っていい者達についてだった、アラガルはドトールに自分のコーヒーを見つつ話した。彼のコーヒーもクリープも入っていて色は茶色だ。人間の二つの感情が混ざった様な色だ。
「普通に殺さない場合もです」
「ありますね」
「切り裂きジャックが有名ですが」
「その前からでしたね」
「エリザベート=バートリーにしても」
尚ハンガリー式に正しく呼べばバードリー=エリザベートとなる。ハンガリーはアジア系なので姓が前になるのだ。
「そうでしたね」
「はい、只血を絞る為に殺すのではなく」
「明らかにでしたね」
「彼女は殺人自体もです」
それそのものをというのだ。
「楽しみ」
「そうしてでしたね」
「犯罪を犯していました」
「世の中こうした者もいます」
アラガルはまた言った。
「そしてそうした者達こそです」
「厄介ですね」
「最も」
「私と同じお考えですか」
「富や地位を求めての悪事はです」
それはというと。
「どの様なものでも歯止めが利きます」
「犯罪を犯す者の中で」
「そうした場合は良心もあるので」
悪心に傾いたがというのだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「良心もあり」
「その良心の声を聞いて歯止めが利く」
「そうなります、狂人や衝動犯、愚者は隠すことはしないかしても下手なので」
それでというのだ。
「わかります、ですが」
「快楽犯罪者はどうか」
「良心はなく」
サイコパスの場合もあるのだ。
「そして中には知能がかなり高く」
「証拠も残さない」
「そうした場合もあるので」
「厄介ですね」
「はい」
実にというのだ。
「犯罪者の中でも」
「最もですね」
「切り裂きジャックもです」
先ほど話に出たこの殺人鬼はというと。
「今も正体がわかっていない」
「証拠もない」
「当時の犯罪捜査技術の限界があろうとも」
「あまりにも動きが速く」
「証拠も残さなかったので」
だからだというのだ。
「ですから」
「それで、でしたね」
「今もです」
まさにというのだ。
「証拠がなく」
「それで、ですね」
「まさにです」
今もというのだ。
「わかっていません」
「その正体は」
「こうした者もいて」
それでというのだ。
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