ソードアートオンライン VIRUS
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新たな異変
前書き
お久しぶりです。一ヶ月ぶりの投稿
少し高く跳びすぎて来るのが遅くなったがどうやら、ユキたちが時間を稼いでくれたようだ。そのお陰で子供たちには被害が出てなかったようだ。
「おーい、ギン、ケイン、ミナ。大丈夫か」
そう言ってキリトたちの方を見る。キリトたちの後ろにはユキに抱きつきながら三人が固まっていた。
「「「ゲツガ兄!!」」」
「その声からしてまだ大丈夫そうだな」
「ゲツガ君、そいつらを懲らしめて!」
「分かってる、最初からそのつもりで飛び出したんだからな」
軍のメンバーの方を向き直る。潰されたプレイヤーを必死に起こそうとしていた。そいつが起きたと同時に俺のほうを鬼の形相で睨んでくる。
「おい、こら!!テメェ、ふざけた登場した挙句、軍の任務を妨害しやがって、どうなるか分かってるんだろうなぁ!!」
「わかんないね。大体、こんな空き地に子供を追い込んで金を巻き上げるのが軍の仕事なら、軍はもう犯罪者と変わりねえな」
「ウルセー!!絶対、地面に這いつくばらせてやる!!」
ブロードソードを構え、突っ込んでくる。手を小さく振って袖に隠してあった短剣を取り出した。そして、そのブロードソードに向けて振る。するとブロードソードは壊れ、ポリゴン片に変える。
「ナッ!!」
「おいおい、何だ?その初めて剣を振ったような動きは?」
「ウルセー!!お前ら一斉にかかればこんな奴なんか楽勝だ!!やっちまえ!!」
叫んだ後、軍のほかのメンバーが一斉に武器を取る。さっきの男も新しい武器を取って構えた。
「うおおおおお!!」
「うるせえな」
振られる剣を余裕で避けながら軍のメンバーを翻弄する。
「チクショウ!!何であたんねえんだ!!」
「ふざけやがって!!」
「いい加減当たれ!!」
剣を軽々と避ける。そろそろ仕舞いにするために短剣で一人一人の剣を破壊していく。
「軍の方角はあっちだな」
そう言って一人の腕を掴む。
「何しやが「届くか分かんねえけど、ダメージはないだろ。まあ、近くまで送ってやるから感謝しな」ギャーーーー!!」
そう言って掴んだ男を軍の本部のある場所に向けて放り投げた。飛ばされたのを見た軍のプレイヤーの動きが止まる。
「ん、どうした。ああ、なるほど。さっきのやつより手荒に飛ばされたいのか」
軍のプレイヤーは、首をぶんぶんと振るがこいつらはギンたちを解放しなかったから許す気なんてまったくない。ウインドウを操作して愛剣、フェーロ・プラス・グラヴィターティを取り出す。
「さてと、てめえら、覚悟できてんだろうな」
そして、一人ずつ軍の本部の方角に剣でぶっ飛ばす。そして、最後の一人になったところでその男が命乞いではないが謝ってくる。
「ま、待ってくれ、俺たちが悪かった。だから今日のことは許してくれ。今度からはこいつらには何もしないからさ」
「やだね。俺はお前らを許す気ないし、だから諦めて……ぶっ飛べ!!」
そう言って剣を一気に振るう。そして、軍のプレイヤーを吹っ飛ばした。
「ふぅー、これで良いだろ。大丈夫だったか?」
そう言って、ユキたちのほうを見る。そこには、半ば動かなくなった子供たちと苦笑いをするキリトたち、そういえば子供たちに両手剣を思いっきり振るったトコを見せてなかったな。
「すっげー!!ゲツガ兄!!こんなにすごかったのかよ!!」
一人の子供が先立って近づいてきた。その後にキリトやアスナ、ユキと他の子供たちも寄ってくる。
「当たり前でしょ。何たって私の旦那さんなんだもん」
「ユキ姉、それは関係ないと思うよ」
「そうだよ、ユキ。ゲツガ君は自分の今まで培った経験で強いんだと思うよ」
そうアスナが言ってユキは少し恥ずかしそうにしながら反論していた。視線を動かしてキリトの方を向くとユイが空に右手を上げて何か言っていた。
「みんなの……みんなの、こころが」
そのほうに視線を向けるが何もない。その後ユキとアスナは声を出してキリトの腕の中にいるユイの方に行く。
「ユイ!どうしたんだ、ユイ!」
キリトが叫んでユイを呼ぶと、二、三度瞬きをしてきょとんとした表情を浮かべる。アスナとユキはユイの手を握って同時に言う。
「「ユイちゃん、何か思い出したの!?」」
「……あたし……あたし……」
俺もユイに近づく。
「あたし、ここには……いなかった……。ずっと、ひとりで、くらいとこにいた……」
ユイは何か思い出そうとしようと顔をしかめる。突然、ユイが悲鳴を上げる。それと同時に自分の体の中で何かうごめくものを感じる。そして体中に激しい痛みが走った。
「アァあああああああぁああぁあぁぁぁぁ!!」
「うあ……あ……あああ!!」
「どうしたの!?ユイちゃん!!ゲツガ君!!」
「おい、ユイ!!ゲツガ!!」
「ゲツガ君!!ユイちゃん」
俺とユイの体にノイズが走る。痛みに堪え、声が出せない。しかし、ユイは助けを呼ぶようにアスナとユキに手を伸ばしていた。
「ママ、お姉ちゃん……コワイ……ママ、お姉ちゃん!!」
そう言ってユイをアスナとユキが抱きかかえた。キリトはユイを二人に任せるとすぐに俺のほうに寄って来る。
「おいゲツガ!!大丈夫か!?」
「ぜんぜん……大丈夫じゃねえ……体中がすげぇ痛ぇー……」
「もしかして、あれのせいか!?」
「いや違う……あれの痛みと…まったく違う……あれは、こんな感じじゃ……なかった……」
そして俺は意識を失った。最後に感じたのは自分の身体から何かが抜け出した感覚だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
目を覚ますと、ベットの上にいた。身体を動かせるかを確認する。違和感もなく、普通に動かせた。身体を起こし、辺りを見る。ベットが他に三つあり、ひとつにキリト、アスナとユイ、ユキが一つずつ使っていた。壁の素材からしてここは教会の一室だろう。ベットから足を下ろして座り、ウインドウを開く。その時、あるものが無くなっているの気付いた。
「あの三つの欄が消えている……」
黒く塗りつぶされたような欄が消えているのだ。
「まあ、あんなのないほうがいいからな」
そう呟いて、立ち上がる。すると、何処からか視線を感じた。まずユキの方を向く。ユキは眠っている。次にキリトの方を向く。キリトも眠っている。最後にアスナの方を向く。アスナは眠っていたが腕の中で眠っていると思っていたユイが目を覚ましていて、こちらを向いていた。
「……」
「……」
無言のまま、しばらくその状態が続く。最初に動いたのはユイだ。アスナに抱かれている体を器用に抜け出させてこちらに歩いてくる。
「……どうしたんだ、ユイ?」
怖がられているはずの自分に近づいてきたので少し驚く。そしてユイは、俺の座っていたベットに座って俺の袖の部分を引っ張る。
「……おはなししよ……」
ユイはそう言った。怖がって触ろうとしても怖がっていたユイが普通に袖を掴み、話しかけてきた。分からないがユイが話をしたいといったのでユイの隣に腰をおろす。しかし、まずは俺の疑問に答えてもらう。
「いいぞ。でも、一つだけ聞いていいか?初めて会ったときにどうして怖がっていたのに今になって話そうって思ったんだ?」
「うーんと……さいしょは、なんかいやなかんじで、さわったらいけないってかんじがしたの……でも、さっきみたときはなにもかんじなかったから」
つまり、最初あったときの俺からは嫌な何かを出しているらしかった。予想だと最初ユイにあったときにはあの黒い何かがあったとき、しかし今は無い。あれは、ユイに対しては何か発していたらしい。だから、それがなくなった今、こうやってユイがさわってきたり出来るようになったのだ。
「そうか。話してもいいけど、その前に部屋を出るぞ。みんなの睡眠の邪魔したらいけないからな」
そう言って教会の外に出て、教会の壁に背を預けて座る。
「じゃあ、お話しするか。どんな話をするか……」
「ぼうけんのはなし!!」
「そうかじゃあ印象に残りそうなので行くか」
俺はユイに少し冒険の話をした。まずは、最初のボス戦の話、次にキリトとのデュエル、そして籠もって珍しいモンスターと二体出会った話。そして二、三話したところで一度時間を確認する。四時半と表示されていた。昨日は確か昼ぐらいに気絶して結構な時間寝ていたから寝付けないと思う。
「ユイ、お前はもう少し寝とけ」
「えー、眠くないよ」
「いいから、少し寝とけ」
そう言ってユイを部屋で寝ているアスナのベットに持っていき、アスナの隣に寝かせる。
「話はまた今度してやるから、今は少し寝とけ」
「……分かった」
そう言ってユイは目を閉じた。しばらくして寝息を立て始める。それを聞いて寝たのを確認すると、再び外に出た。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
はじまりの街の外に出て、久しぶりの初めてモンスターと戦った場所に来た。懐かしいな、そう思いながら景色を眺めているとフレンジボアーがポップした。
「お、初めて狩ったモンスターのフレンジボアーじゃん。今思えばはじまりの街に来てもそんなにここに来なかったからな」
そう呟きながらフレンジボアーを見る。とりあえず久しぶりに狩ることにした。落ちていた石を拾い、フレンジボアーに投げつける。気付いて突進して来い、そう思って当てたつもりだったのだが、それに当たったフレンジボアーは、HPを全部削られて、ポリゴン片へと変わった。
「……」
うん、まあ、そうだよね。今俺103だし、2、3、レベルのフレンジボアー目掛けて石投げたら、いろいろと補正がかかってそりゃ死ぬよね。
「……帰ろう」
なんか、一気に狩る気が萎えた俺は教会へと帰った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
帰って来ると、二、三人子供とサーシャが起きてご飯を作っていた。
「おはよう」
「ゲツガ兄!!大丈夫なの!?」
俺を見た子供たちはすぐに大きな声を上げ、心配そうに見てくる。サーシャも同様、心配そうに見てくる。
「大丈夫だよ、この通りな」
そう言い元気ですとアピールする。それを見た全員、ホッとしたように息を吐く。
「心配させてゴメンな」
「いいよ。それよりも、ユキ姉のトコに行ってあげなよ。一番心配してたのはユキ姉だし」
「分かった」
そう言って、俺はユキたちの寝ている部屋に向かった。扉を開けて部屋に入ると、ちょうどみんな起きたところだった。
「はよーす「「「ゲツガ(君)!!大丈夫なの(か)!?」」」大丈夫だから落ち着け」
ユキは叫んだ後、すぐに俺の胸に飛び込んで顔を胸に押し当てる。
「朝起きたら……ゲツガ君いないから……消えたかと思ったんだよ……」
キリトやアスナも頷く。相当心配かけたらしい。
「ゴメンな。でも、俺は、お前を置いて行かない」
「……うん」
「よし、キリトもアスナも心配かけてゴメンな」
「ゲツガ、これからはメッセージとか送っとけよ」
「そうだよ。もしも、ユキを悲しませるようなことをもう一度したら、ソードスキル練習用のかかしになってもらうからね」
「ぜ、善処します」
そしてユキが胸から離れたあと朝飯の準備に行くことにした。
「俺はちょっと飯を作るの手伝ってくるから適当に待っといてくれ」
そう言って俺はキッチンへと足を進めた。
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