ソードアートオンライン VIRUS
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謎の少女
前書き
SAO二作目を企画しています。
しばらく日が経ち、俺はユキとともに家でくつろいでいる。攻略をしていない理由は、この前の件をヒースクリフに報告して、ちゃんと休暇を取ったためである。
「ねえ、ゲツガ君。今日は何して遊ぶ?」
「そうだなー、この前はショッピングしたし、その前ははじまりの街の子供たちに遊びに行ったしなー……どうせなら家の周りでも探索するか?裏の方が薄暗い竹林っぽいのあったろ。入ったら何かあるかもしんねえぞ?」
そう言って窓の外から見える竹林に指をむける。ユキはそれを見たら少し顔を青くする。
「や、やめとく」
「ん?もしかして、暗いトコ苦手か?……よし、行くか」
「何で!?私、暗いトコ苦手ってわかったのに何で行こうとするの!?ヤメテよ!」
「何でって……面白そうだから?行ってみようぜ。ユキの怖がる姿も見てみたい」
「イヤだよ!そんなこと言うなら私、今日はアスナのトコに遊びに行く!!」
「ああ、それもいいな。じゃあ行くか」
「なっ!!私の抵抗はなんだったの!?」
「思いつかなかったから暇つぶしにいじってた」
そう言うとユキは顔を真っ赤にしてから文句を言ってくるがそれを適当に流して準備する。その時に、家に誰かが近づいてくるのに気付いた。誰だ?そう思った時、家の戸を叩く音が聞こえる。
「はーい。誰ですか」
「ゲツガ、俺とアスナだ。ちょっと話があるから開けてくれないか?」
「勝手に入っていいぞ。多分開くから」
そう言うとキリトとアスナ、そしてキリトの腕の中にいる小さな少女が入ってくる。それを見てユキは騒ぐのをやめてアスナに聞く。
「アスナ、どうしたの、その子?」
「ええと、ちょっと幽霊話のあった森に行ってその時に見つけた子なんだけど、ほとんど何も覚えてないらしいの」
「そうか。でも、何で俺らのトコに連れてきたんだ?」
「ゲツガって案外顔が広いからさ、この子のこと知ってんじゃないかって思ってさ」
「勝手に決め付けんな。ただキリトよりは顔が広いってだけだ」
そう言って俺とユキはキリトの腕の中にいる少女の顔を覗き込む。
「ユイ、この女の人がユキ、私の親友。そしてこの人がゲツガ君、キリト君の親友だよ」
「ユキ……ゲツガ……」
ユイという少女は俺とユキの名前を呼ぶ。アスナはその様子を見てニコニコしている。ユキがユイの頭を撫でる。その時にユイはユキを見て、遠慮がちに言った。
「お姉ちゃん……」
そう言った。それを聞いたユキはうれしそうにアスナたちに言う。
「ねぇ、聞いた!?今、私のことお姉ちゃんって!!」
「ああ、言ったな」
「私も言われたよ。ママって、キリト君もパパって。何か言われたらうれしいよね」
ユキとアスナはその話で盛り上がっていた。俺もユイの頭を撫でようとする。しかし、それは叶わなかった。ユイの頭を撫でようとした瞬間、ユイが怯えたような顔になったのだ。それを見て、手を伸ばすのを止める。そして、腕を下げるとユイの顔は怯えた表情ではなくなった。しかし、目だけはまだ怯えていた。どうやら俺を少し怖がっている様子だ。
「どうした、ユイ?あっ、もしかして、ゲツガが怖いのか?大丈夫だ、こいつは怖い奴じゃない」
キリトはユイにそう言ってユイの手をが持って俺の方に伸ばさせる。
「ホラ、ユイ。ゲツガと握手だ」
キリトはそういうが、ユイは嫌がっている。なので断った。
「いや、挨拶したからいい。それより、こんなトコじゃなくて奥の部屋で話そうか」
そう言って、キリトたちを奥の部屋に案内する。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「なるほど。つまり、この子を森の中で拾って、何処から来たか聞いたが答えれなかったから、どんな小さい情報でもいいから集めてこの子を親元に帰したい、と言うわけだな」
話を聞いてだ大体のことをまとめる。
「でも、新聞にも載ってないって言うことは最悪の場合……ごめん、さっきのは忘れて……」
「いや、いるよ。多分、俺らの層に家族で遊びに来ていたときにこの子が迷子になった。家族はたぶん今、自力で探してると思う。みんなに迷惑をかけたくないってさ」
「私もそうだと思う」
アスナとキリトはそう言って、ユイを見る。その本人は湯飲みに入った少し苦めのお茶を難しい顔で飲んでいた。
「そうだな。この子のためにも探さないとな」
そう言って、自分の前に置かれている湯飲みの中のお茶を一気に飲み干す。
「それじゃあ、ユイのためにも親を探してやるか」
「うん」
その時、アスナの顔が少し曇るのが見えた。どうやらユイがアスナにとって大きな存在になっているようだ。
「アスナ、大丈夫だ。親元に戻ってもまた会いに行けばいい」
俺がアスナに言うと、アスナは大きく目を見開く。心を見透かされたことに驚いているようだ。しかし、その後、微笑んでから礼を言った。
「それじゃあ、何処から探す?上の層?下の層?それとも二手に分かれて中間層から半分ずつに別れるか?」
「いや、一緒に下の層から探していこう。分かれて探すにしても、ユイがその人を見なきゃわからないし、はじまりの街ならゲツガの知っている教会があるだろ?あそこに行けば、子供についての情報が何か入ってるかもしれない」
「サーシャさんのトコか?それもそうだな。もしかしたら、そこにユイの親が行った可能性もあるしな」
俺らは、ユイの親を探すためにはじまりの街に向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
はじまりの街の転移門の前に着いた。
「キリト、アスナ、ここ最近軍が徴税とか言って金を巻き上げてるらしいから、気をつけろよ……って言ったって俺らにとっちゃぜんぜん障害にならないけど」
「そうだね、ここらへんにいる軍のプレイヤーなんて私たちには敵わないと思うけどね」
ユキもそう言う。
「まあ、保険をかけておくほうがいいだろう」
そう言って、コートの袖の部分に短剣を隠す。
「それじゃあ、東七区の教会に行くか」
俺らは教会に向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
教会の前で子供たちが遊んでいた。俺を見た一人が叫ぶと、一斉に寄ってくる。
「ゲツガ兄!!遊びに来てくれたの!?」
「ユキ姉!!また、お話してよ!!」
子供たちは俺とユキが来たことによって、テンションが上がったみたいだ。しかし、ここで余り騒がれるのは困るので子供たちに家に入るように言った。
「おいおい、ここで騒ぐと軍が来るかもしれないだろ。とりあえず教会の中に入るぞ」
そう言うと子供たちは教会の中に入っていた。そして、子供たちにサーシャ先生のところに行って来ると言って、サーシャのところに向かった部屋に入ってサーシャに挨拶する。
「こんにちは、サーシャさん」
「ゲツガさんにユキさん、こんにちは。えっと……そちらのお二方はどちらで?」
「私の友達の、アスナとキリト君です。それと、キリト君の腕の中にいるのはユイちゃんって言います」
「初めまして、アスナです」
「キリトです」
「初めまして、サーシャといいます。私はこの教会でこの子達をまとめ役みたいなものをしています」
自己紹介も済んだところで本題に入ることにする。
「サーシャさん、この二、三日の間。誰か尋ねて来なかったか」
「え、えーと……一人も来てないですけど、どうしたんですか?」
「実はこの子の親を探してるんです。でも、この子、記憶とかが曖昧で親とかがよく分からないんです」
アスナが言った。サーシャはそれを聞いて少し顔を曇らせて答える。
「そうなんですか。すみません、力になれなくて……」
「いいんですよ。来なかったと言う情報だけでも十分です」
アスナがそう言ったあと、後ろの扉が勢いよく開かれる。
「大変だ!!サーシャ先生!!」
子供たちが部屋に勢いよく雪崩れ込んできた。
「こら!いくら客人がゲツガさんとユキさんだからって、失礼でしょ!!」
「それどころじゃないよ!!ギン兄ィたちが軍の奴らに捕まちゃったよ!!」
そう叫ばれるとサーシャは表情を変える。そして、その子に毅然とした態度で少年に訊ねる。
「━━場所は!?」
「東五区の道具屋の空き地。軍が十人くらいで通路をブロックしてる。コッタだけが逃げられたんだ」
そう言い終えた瞬間、俺は素早く今日教会から出て、屋根の上に跳ぶ。そして今度は空に向けて跳躍して近くの屋根に跳ぶ。それを繰り返し、空き地へと向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ゲツガ君は入って来た子供が、場所を言った瞬間走って、出て行ってしまった。多分、子供を助けに行ったんだと思う。それを見た後私もその後に続こうとアスナたちに言った。
「アスナたち!私たちもゲツガ君に着いて行こう!!」
「あいつだけに良いカッコばっかさせられないしな」
「そうだね。ゲツガ君にカッコばっかつけさせられないよね。サーシャさん子供たちを助けに行きましょう」
「皆さん……ありがとうございます。ゲツガさんの後を追いましょう!」
「「「はい!!」」」
そして私たちも子供たちを助けに向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
たくさんの角を曲がりようやくその場所に着いた。そこに、十人近くの軍のプレイヤーがいた。まだゲツガ君は到着していないようだ。こちらに気付いた軍のプレイヤーたちがニヤニヤしながら言う
「お?ようやく、保母さんの登場だぜ」
「……子供たちを返してください」
硬い声でサーシャは言った。しかし、男たちは甲高い笑い声を上げながら返す。
「人聞きの悪いこと言うなって。すぐに返してやるよ、ちょっと社会常識ってもんをおしえてやったらな」
「そうそう。市民には納税の義務があるからな」
硬く握られたサーシャの拳がぶるぶると震える。
「ギン!ケイン!ミナ!!そこにいる!!」
「みんな大丈夫!?」
私とサーシャさんは男たちの奥にいると思う子達を呼ぶ。その後、怯えきった声でいらえがあった。
「先生…ユキ姉…二人とも助けて!!」
「お金なんていいから、全部渡してしまいなさい!」
「そうだよ!渡して!」
「先生…ユキ姉…こいつら、そんなんじゃだめって言うんだ…」
今度は絞り出すような声。そして道を塞ぐ軍の一人が引きつるような笑いを吐き出す。
「あんたら、ずいぶん税金を滞納してるからなぁー。……金だけじゃ足りないよなぁ」
「そうそう、装備も置いてってもらわないとなぁー。防具も全部……何からないまで」
私はそう言われた瞬間、殴りかかろうとするがその前にサーシャさんが男たちに詰め寄って叫ぶ。
「そこを……そこをどきなさい!さもないと……」
男たちはまったく動くそぶりを見せない。街の内部では犯罪防止コードが常時働いているためダメージを与えることや無理矢理移動させることも出来ない。つまり、今前にいるプレイヤーを排除できないということ。しかし、それは地面を移動する場合できること。私はキリト君とアスナを見やる。
「行こう。キリト君、アスナ」
「ああ」
「ええ」
そして、私たちは地面を蹴る。呆然とした表情で見上げるサーシャさんと軍のメンバーを飛び越えて空き地に降り立った。
「うわぁ!?」
その場にいた軍のほとんどは驚愕の表情を浮かべている。
「ユキ姉!!」
「もう大丈夫だから安心して」
そう言って抱きついてきた、子達を優しく撫でる。
「おい……オイオイオイ!!」
ようやく我に返った軍の一人が喚く。
「何だお前らは!!軍の任務を妨害すんのか!!」
「まあ、待て」
それを押し留めて、ひときわ重武装の男が前に出てくる。
「あんたら見ない顔だけど、解放軍に楯突くって意味が解ってんだろうな?なんなら本部でじっくり話聞いてもいいんだぜ」
そう言って腰から大振りのブロードソードを取り出す。しかし、その剣ははたから見れば大ぶりで強そうに見えるが、剣の表面には新品と同様の薄っぺらい輝きを放っている。
「それとも圏外行くか、圏がぼふぁ!!」
話が途中で途絶えた。そのわけは、空から降ってきた男に潰されたからである。潰されたプレイヤーの上に立つ男は私の大好きな人だった。
「もう、来るのが遅いよ!!」
「悪ぃな。やっぱ敏捷力がないから跳んで行こうと思ったんだが、高く跳びすぎて遅れたわ。それより、キリト、アスナ、ユキ。時間稼ぎサンキュー」
遅れてゲツガ君が登場した。
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