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神々の塔

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第四十九話 悪魔が教えることその三

「もうな」
「自分が悪やね」
「吐き気を催す邪悪を超えた」
 そうしたというのだ。
「最もドス黒い悪」
「それになるんやね」
「そうなるかもな」
「それが一番怖いね」
 綾乃は中里の今の話に神妙な顔になって述べた。
「やっぱり」
「吐き気を催す邪悪よりもな」
「そっちの悪は悪って自覚して」
「それで悪事をやってるけどな」
 自分自身の為にだ。
「ばれんかったらええ、ばれても訴えられんかったらええ」
「それはそれで最低やけど」
「自分に絶対の正義があると思って」
「独善になってやね」
「暴走したりしたらな」
 その時はというのだ。
「ほんまな」
「そうした悪になって」
「最低だけやなくて」
 この言葉に留まらずというのだ。
「最悪にもや」
「なって」
「ほんまな」
 それこそというのだ。
「どうにもならん」
「ほんま悪魔さんより性質が悪い」
「そうなるわ、悪魔さん達は悪かっていうと」
「神様と対立してるだけで」
「キリスト教やとな」
 この宗教の考えではというのだ、キリスト教のこの考えはゾロアスター教の善悪二元論からきている。
「それが悪となるけどな」
「実際に悪かっていうと」
「今話している通りや」
「もう一つの正義やね」
「そやけどそうしたや」
「私利私欲で他の人を踏み躙ったり」
「あと快楽でやったりな」
 悪事をというのだ。
「暴走した絶対の正義はな」
「悪やね」
「そういえば暴走することはあっても正しいことをしているとか言う奴もおるな」
 リーは真顔で述べた。
「それも平然と」
「そういう奴はそのままね」
 アレンカールはリーが今話した輩に対してこれ以上はないまでに軽蔑した顔で言い切った。
「最もドス黒い悪ね」
「それになるな」
「どんな活動してるか知らないけれどね」
「何をしてもな」
「悪ね」
「暴走しても正しいか」
「そう言い切れるなんて相当ね」
 今も軽蔑しきった顔で言い切った。
「愚かでね」
「ドス黒い悪や」
「近付いたら駄目な奴ね」
「警察に通報してもや」
 そしてマークする様にお願いしてもというのだ。
「ええわ」
「そうよね」
「そういう奴がテロとか犯すんや」
「碌でもない考えに染まってね」
「それで自分が絶対に正しいと思い込んでな」
 そうなってというのだ。 
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