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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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トモダチ100人できてきてるよね?

(グランバニア城下町:プービル)
ルディーSIDE

「はい、非売品よ」
「ありがとうございますぅ~~~!」
この場で録音したCC(コンパクト・クリスタル)を受け取り感動で溶けそうになっている。

録音機器の正式な名称は判らないが、あの機械はミスった部分などをカットして仕上げる事が出来るらしく、演奏後に少し時間がかかっていた。
でも一度演奏してしまえば、その演奏分をマスターとして何個でもCC(コンパクト・クリスタル)を複製出来るみたいだ!

そうなると……
何も今回演奏しなくても、以前に録音したマスターから録音出来たのでは無いのだろうか?
う~ん……詳しくは判らないけど、生演奏を目の前で観たかったし黙っておこうと思います。

「あの……今日の事とこのCC(コンパクト・クリスタル)、昨日一緒にコンサートに行った友達に自慢しちゃっても良いですか?」
「それは……構わないけど、CC(コンパクト・クリスタル)も際限なく作るわけにもいかないから、その友達が欲しいと言ってきてもルディー君がちゃんと断るのよ。出来る?」

「出来ます! ってか絶対にします! 皆さんに迷惑は掛けません!」
「あと何度も言うけどそれは非売品だし、それで小遣い稼ぎしちゃ駄目よ。お城でピエ(ピエッサ)が説明したけど、マリー法が見張ってるからね」

「その点も大丈夫です! 僕がリュカ様にご迷惑を掛けると、それは直ぐにサラボナのお祖父様への迷惑になりますから! この点だけは芸高校(芸術高等学校)入学に際しての要注意事項ですから!」

そう……お祖父様も僕を送り出してくれるときに言っていた。
『リュカに迷惑を掛けるなよ。仕返しに何をしてくるか判らんからな(笑)』
って!

「それにその友達も今年入学の芸高校(芸術高等学校)音楽科1年生で、MG(マジカルギター)の科目を習っている奴なんです。だからマリー法とかも直ぐに理解してくれるはずです!」

「え、マジぃ! ダチンコ君は私の彼ピッピの生徒なのぉ? 偶~然♥」
「ええっ!? ピノさんって彼氏居るんですか!? しかも芸高校(芸術高等学校)の講師さんなんですか!? 何でさっき僕に『乳揉む?』とか言うんですかぁ~……? 期待しちゃったじゃないですかぁ~……僕モテ期なのかなぁ~って(涙)」

「ワリーワリー(笑) でも初対面だし、そこまで飛躍しねーと思ったのよねぇ(ケラケラ)」
両手で胸を寄せ挙げ謝ってくる。
これを見せられて更に怒る男は居ない!

「え、ピノちゃんヨクス君と付き合ってんの!?」
「あら、エミヘンちゃんは知らんかったのかい?」
エミヘンさんともお知り合いの方なのかな?

「し、知らなかったわよ。私なんかは、音楽性の違いで一緒に授業を受けてた彼氏と別れちゃったくらいなんだから! そんな余裕は……」
その男の人はバカだなぁ。こんな美人と別れるなんてぇ!

「うはっ(笑) 寧ろ私は音楽のセンスで気が合っちゃって挟んでやったらフュージョンよぉ!」
「挟んでフュージョンって巨乳自慢すんな!」
良いなぁ! 僕も挟んでフュージョンして欲しい……フュージョンって何だ?

「はいはい、馬鹿話はお終いよ!」
両手をパンパンと叩きながらピノさんとエミヘンさんの遣り取りを諫めるアイリーンさん。
僕は好きですよ、こういう話。

「じゃぁ僕は屋上で作業をさせてもらいますね」
「えぇよろしくねルディー君。もし何か足りない物があったら私に言ってね。社長からお金は預かってるから……」
多分大丈夫だろう。

リュカ様も『そんなに力を入れなくていい』って仰ってたし、今ある材料で最善を尽くす場問題ないはずだ!
寧ろ足りないのは僕の実力だと思う。
こればっかりはお祖父様にお金を出してもらっても支払いきれないだろう。





……一応出来た。

全っ然自信が無い!
こういうのってお父さんがセンスあって凄く上手いけど、僕にはまだその域にまで到達出来ていないなぁ。

材料は十分すぎるくらいあったから、3つ作ったけど……
どれもイマイチな気がする。
リュカ様は本当にお優しいから怒ったりはしないだろうけど、ガッカリさせたくないなぁ。

最初に作ったのは、音楽事務所と言う事で『GRANVANIA Entertainment Office(グランバニア・エンターテインメント・オフィス)』の文字に音符とかの音楽記号をあしらった看板だ。
音楽記号とか全然分からないから、これで合ってるのかも分かってない。

次に作ったのは文字にピアノとかギターとかの絵をあしらった看板だ。
ピアノは……まぁ、本物のディテールとが細部まで判るから、それをデフォルメして可愛く描けたけど、他の楽器が分かってないからこれでいいのか……?
MG(マジカルギター)MB(マジカルベース)の違いが分からない。

なので最後に、最悪は及第点だけでも貰えるようにと文字だけの看板を製作した。
プリ・ピー(プリンセス・ピープル)の皆さんの様に可愛らしくもないし、リュカ様の様に格好いいわけでも無い『GRANVANIA Entertainment Office(グランバニア・エンターテインメント・オフィス)』との文字だけの看板。

こんなセンスの無さで、よく芸高校(芸術高等学校)に合格したものだ!
自己嫌悪で沈み込む思いだよ。
あぁ……ピノさんに挟んでフュージョンして貰いたい……フュージョンって何だろう?





「……というわけで申し訳ないとは思いましたが、無駄に3つも作ってしまいました」
申し訳ないと思いながらも出来た看板をアイリーンさんに報告。
まだ乾いてないため、屋上にて乾燥中。

聞きつけたプリ・ピー(プリンセス・ピープル)の皆さんも練習の手を休めて看板確認に屋上へ上がってきてくれた。
申し訳なさの増産中。

屋上とはいえ外だったので、皆さんもちゃんと上着を羽織って登場。
ピノさんも大きいのは一目で判るけど、可愛い真っ赤なパーカーで防御完璧。
やっぱり挟んでフュージョンは無さそうだ……訊いた方が良いかなフュージョンって何か?

「あらコレ良いじゃん♡」
「そうねぇ。私もこのこの音符の看板が良いと思うわぁ」
ピノさんが最初に作った看板の前に立ち止まって腰を下ろすと気に入ってくれた……ヴァネッサさんも優しく褒めてくれる。

「私は……こっちの楽器が描かれてる奴の方が可愛くて好き……だな」
「分かるわアーノ。私もこのピアノとかが可愛くて好きだわ」
「うん。多分一般の者からしたらMG(マジカルギター)MB(マジカルベース)も違いが分からないから、こんな感じで良いんだろうね」

2つめに作った看板にアーノさんとエミヘンさんとアイリーンさんが賛成してくれた。
アイリーンさんは僕がMG(マジカルギター)MB(マジカルベース)の違いに分かってない事にも肯定的に受け入れてくれてる。
優しい。

キャロ(キャロライン)如何(どう)思う?」
「う~ん……私は……この文字だけの方が良いなぁ」
で、ですよねぇ~……どっちもセンス無いですもんね~~!!

「えぇ……文字だけは味気なくない? 悪くは……無いけど……さぁ……」
僕もアイリーンさんに大賛成です!
だって悪く無く無いですもん!

「いやぁ……音符のも楽器のも可愛いわよ。私だってそんなにセンスが悪いわけじゃ無いから、ちゃんと可愛いと思うけどもぉ……」
「じゃぁ何が気に入らないの?」

「この2つはさぁ……何か……子供の音楽教室っぽいのよねぇ」
「『子供の音楽教室』!?」
うっ! 可愛くしたかったんだけど、子供っぽいかぁ……

「私さぁ、プリ・ピー(プリンセス・ピープル)をちゃんとした音楽活動として行いたいのよ。仲の良い女友達だけで集まってキャピキャピ……っ的なじゃ無くって」
「わ、私だってそうよ!」

「うん。だからさぁ、そうなると絵とか要らないなと思ったの。文字だけで伝えたい事を伝えれば良いなって。そう思ったからパッと見でも文字だけの看板が凄く良いと思ったわ」
「なるほど……確かに」

屋上の床に並べて乾燥してある出来たての看板を3つ見下ろしながら、プリ・ピー(プリンセス・ピープル)の皆さんが考え込んでいる。
あぁ……僕は余計な事しかしていない!

「まぁ……最後は社長に選んでもらいましょうよぅ」
「そうねピノの言うとおりだわ。ここの建物は社長の物なんだし、その正面に飾る看板だって社長の意見が一番重要よね」
リュカ様は格好よくてセンスが良いから、全部気に入らないと思うよぉ……

「じゃぁ、こうしない?」
ヴァネッサさんが何やら楽しそうに提案してくる。
何だろうか?

「私たちの意見は言わずに、社長に決定して貰うの。でも今は私たちの意見は分かれてるわけじゃない? だからそれで賭けをするの」
「賭けぇ?」

「うん。社長のセンスと同じだった人にご飯を奢るのよ。そうねぇ“ニック・ジャガー”さんのお店で奢って貰いましょ」
「なるほど……ではこの音符のだったらピノとヴァネッサ先輩の勝ち」

「うん。このぉ楽器の看板だったらぁアーノとエミヘンとアイリーンの勝ちぃ」
なるほど……
では、

「じゃぁもう一つの文字だけのを社長が選んだら私の一人勝ちって事で良いのね?」
キャロラインさんが文字だけの看板を指さしながら嬉しそうにピョコピョコ跳ねる。
可愛い。

「うっ……社長と同じセンスになれたらそこはかとなく嬉しいわね!」
アイリーンさんが自分の服の胸元をギュッと握りながら呻き漏らす。
リュカ様はモテすぎです!

羨まっ!!

ルディーSIDE END



 
 

 
後書き
グランバニアの綴りはコレでいいのかな? 
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