リュカ伝の外伝
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トモダチ100人できるかな?
前書き
今回の主人公は
ルドマンの孫です。
両親はフローラとアンディーです。
(グランバニア城)
ルディーSIDE
この春から僕は念願の一人暮らしを始める。
それもグランバニア王都でだ!
一生懸命に頑張ってグランバニア王立芸術高等学校に合格したのだ。
ウルフ宰相閣下の絵に感銘を受けて、僕も画家の道を目指そうと猛勉強をした。
お父さんが元々芸術に触れていたから、勉強する環境としては申し分なかったと思う。
環境に恵まれていた事には素直に喜ばしい。
そして環境に恵まれているという意味では、初の一人暮らしの部屋も最高だと思う。
お祖父様がグランバニアの王様であるリュカ様と仲が良いので、グランバニア城1階にタイミング良く空いた部屋を提供してくれた。
何でもちょっと前までこの部屋には女性の軍人さんが住んでいたらしいけど、結婚を機に城下に戸建ての家を購入したらしく、そちらに引っ越していったそうだ。
如何やら旦那様がラインハットの子爵家らしく、購入資金を全額出してくれたとの事。
因みに友達も出来た。芸術科の絵画専行クラスに数人と、何故だか音楽科にも一人だけ友達になった奴がいる。名前は『ホール・ギルバート』君。
彼も猛勉強したらしく、新設されたMG専行クラスに入れたらしい。
マリピエの影響でポップスミュージックに興味が出て、タイミング良く新楽器が発明されて、それを専行する事にしたらしい。
元々音楽には慣れ親しんでいたそうなので、進むべき道に進んでいると本人は言っている。
なお、友達になれた経緯だが……
僕がウルフ宰相から入学祝いとしてマリピエのコンサートチケットを貰い、入学式の夜に観に行った事で、同じくコンサートを観に来てた彼と知り合えた。
コンサートは城内2階にあるカフェで行われており、丁度座席(と言っても立ち見席だが……)が隣同士になり、僕が住んでいるのが1階という好環境を羨ましがられて、公演が終わった後に僕の部屋で深夜まで互いの興味がある事(僕は絵画、彼は音楽)を語り合ったのだ。
そんな感じで仲良くなったので、入学祝いとしてリュカ様からも新人グループのコンサートチケットを2枚貰っていたので、それに誘ってみた。
勿論返事は速攻了承!
新人グループも最近グランバニア内外で流行り始めてきてるポップスミュージックのバンド(しかもガールズバンド)との事で、ホール君も興味津々。
城内と芸高校(特に音楽科)内にポスターも貼ってあり、僕も彼も知ってはいたコンサートだ。
ポスターには『謎の芸能プロダクション社長の“プーサン”がプロデュース』と書いており、一般の人は知らないだろうけどリュカさんの事だと知ってる僕は、そういう意味で興味津々。
因みにグループ名は『プリンセス・ピープル』と言うらしい。
リュカ様が言うには『プリ・プリ』は拙いから、『プリ・ピー』にしたとの事。
何故拙いのかは解らない。リュカ様は時々僕等には解らない事を言う。
初めて観たプリ・ピーは素人の僕でも感動する程素晴らしかった!
音楽に詳しいホールなんかは、『本当に良い! 俺が求めていたのはコレだよ! マリピエは可愛いし新しい音楽(ポップスミュージック)の先駆けとしては素晴らしいんだけど、ヴォーカルが下手なんだよ! そこに深入り出来ない理由があった! でも彼女らは音楽性や技量が高くて素晴らしすぎるよ!』とコンサート後に僕の部屋で興奮しながら語ってた。
マリピエとは知り合いだし、以前に実家(サラボナ)で特別講演をしてくれたから、悪い印象は無いし下手なのか如何かは判らないけど、音楽を専攻している人が言うのだからそうなんだろう。
でもホールにコンサートチケットをプレゼントして喜ばれたのは、プリ・ピーの素晴らしさだけじゃない。
なんとこのチケット……“エグゼクティブ・チケット”と呼ばれているモノらしい事だ。
今回のコンサートには普通のチケットと、このエグゼクティブ・チケットの2種類がある。
普通のチケットが50Gなのに対し、エグゼクティブ・チケットは100Gもするのだ。
何故こんなに高いのかというと、エグゼクティブ・チケットには新発売の音楽再生機……名称がMPと呼ばれている商品を優先的に入手する引換券が付いていたのだ。
コンサート会場である城内カフェの向かい側の以前はグランバニア城大会議室があった部屋に、最近設立された半民半官企業のPONY公社で引き換え可能になっている。
引換券を持って無い人(つまり普通のチケットの人)でも55Gで購入可能。
勿論引換券を持っている人の方が優先になるのだが、数量は揃えており入手出来ないって事は無いらしい。
僕とホールはリュカ様からお祝いとして貰ったチケットで観に来たので、このMPも無料で入手する事が出来た。
普通に買ったら55Gもするのに、無料で手に入ったのだがらラッキーだよ。
このMPって商品は名前の通り音楽を奏でる装置らしく、別売りでの魔道結晶を接続する事で、様々な音楽を聴く事が出来る。
しかも商売上手だなと思ったのは、コンサートに来ていた人たち全員に、その日に披露された楽曲の魔道結晶をプレゼントされた事だ。
僕たちやエグゼクティブ・チケットを購入した人たちは無条件でMPを入手出来てプレゼントされた魔道結晶から音楽を聴く事が出来るけど、普通のチケットの人は魔道結晶だけを貰っても意味が無い。
コンサートを聴いて感銘を受けなかった人は魔道結晶を別に利用すればいい……例えば魔道結晶は綺麗な水晶だから、加工してネックレスにするとか。
でもほぼ全員がコンサートに感銘を受けていたので、終わるや否や皆がPONY公社の販売店に駆け込んでいた。
さて……
そんなプリ・ピーの素晴らしいコンサートが開催されたのは昨晩。
今日は月曜日なので、学校が終わってからリュカ様にチケットのお礼を友達の分と合わせて言いに言った。
そうしたらリュカ様は『お礼したいんだったら行動で示して』と言い、城内各所に張ったプリ・ピーコンサートの告知ポスターを剥がすのを手伝う様に言われた。
当然だがそのくらいの事であればお安いご用なので、僕は直ぐに城内を探し回る。
大体の張ってある場所と張った枚数は聞いていたので、それを全部回収。
回収したポスターはグランバニア城3階の、王家プライベートエリアにある娯楽室に持ってくる様に言われた為、今まさに向かっている所である。
因みに王家のプライベートエリアへの入城という事もあり、リュカ様から許可証を発行して貰った。
しかもこの許可証は有効期限が無く、ほぼ永遠に使用出来る。
連日プライベートエリアに行ってれば、警備の兵士さんに顔を覚えられて顔パスにもなるらしい。
全部お祖父様とリュカ様が知り合いだから受けられる恩恵だ。
僕的には感謝しかない。
でもデボラ伯母さまはリュカ様を嫌っている……何でだろう、不思議だな?
そんなこんなで僕は数百枚の剥がしたポスターを抱えて、グランバニア城3階の王家プライベートエリア内にある娯楽室へと辿り着く。
聞いた話では、ほぼ音楽室として使われているらしく、防音対策が万全だとか……
でも一応ノックはして大きな声で「失礼します」と言って中に入る。
しかし目の前にはもう一枚の扉が……
これが防音対策なのだろう。
もう一度気を取り直して、ノックと挨拶。
そして扉を少し開ける。
そこには……
ルディーSIDE END
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