八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七百二十八話 キリンの習性その四
「だからな」
「それ故に」
「キリン達はそれで困っていない」
同性愛が普通でもというのだ。
「また爬虫類のコーナーにいたが」
「先程回った」
「ムチトカゲという蜥蜴はな」
この生きものの話もするのだった。
「実は雌しかいない」
「それでも子供が出来てですね」
「種として存続している」
「そうした身体の仕組みですか」
「そうだ、この生きものもだ」
「同性愛ですね」
「雌しかいないのだからな」
そうであるからだというのだ。
「最早だ」
「そう言うしかないですね」
「そうなのだ、同性愛が異常というのはな」
「生物学を学ぶと」
「そうは言えなくなるのだ」
「そうなのですね」
「生きものには欲がある」
これは絶対だというのだ。
「食欲、睡眠欲がありな」
「性欲ですね」
「この三つは絶対のものだ」
「生きものにとって」
「三大欲求の一つで絶対にだ」
「解消しなければならないですね」
「そうしたものであってな」
それでというのだ。
「人も他の生きものもな」
「解消せねばならず」
「近くに異性がおらず同性でと思うならだ」
「普通ですね」
「そうだ、生きものは時として同性にもだ」
「そうした欲を感じる」
「そうしたものだ、だが同種を食べることはな」
これはというと。
「また違う」
「カニバリズムですね」
「これに走るとな」
そうなればというのだ。
「クールー病にもなる」
「恐ろしい病気でしたね」
「しかも抵抗がないならな」
「異常ですね」
「同性愛とはまた違うのだ」
同種を喰らうことはというのだ。
「何かが違う」
「そう言っていいものですね」
「決して間違えてはいけないことを間違えた」
「そうした行いですね」
「人類の歴史にはこちらもあるがな」
大尉は実に忌々し気に述べた。
「おぞましいことに」
「確かにありますね」
「飢餓が極まったり異常者の中でもだ」
「特に異常な輩がですね」
「するものだ」
こう語った。
「こればかりはな」
「認められませんね」
「狂気の行いとしかだ」
その様にというのだ。
「言うしかない」
「同種を喰らうことだけは」
「やはりな」
「絶対のタブーですね」
「だから私の知る限りだ」
こう前置きして言うのだった。
「虫等でもないとな」
「極めて知能の低い」
「そうした生きものでもないとだ」
それこそというのだ。
ページ上へ戻る