八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七百二十八話 キリンの習性その三
「いないのだ」
「エウロパとは違い」
「エニグマは捕まった」
二次大戦イギリスの暗号で活躍した彼はというのだ。
「そして各国でだ」
「キリスト教の教義に基づいて」
「極めて強くな」
「否定されていましたね」
「死刑にすらだ」
それこそというのだ。
「なる様な」
「重罪でしたね」
「それで宣教師が日本に行ってだ」
その人物の名をフランシスコ=ザビエルといった。
「驚愕したのだ」
「日本では同性愛が普通だったので」
「領主、大名自身にもだ」
「同性愛は駄目だとですね」
「言った」
「当時のキリスト教では常識ですね」
「同性愛の完全否定はな」
これはというのだ。
「それもおぞましい重罪とみなしてな」
「それでその宣教師はですね」
「キリスト教の正義においては正しいことを言った」
そうだったというのだ。
「あくまでな」
「当時のキリスト教ですね」
「カトリックだったがな」
ザビエルはカトリックの中でも先鋭的なイエズス会の人物それも第二位と言っていい地位にあった人物だったのだ。
「それでだ」
「日本の同性愛を見てですね」
「驚愕したのだ」
「恐ろしい罪が蔓延していると」
「絶対に許せないとな」
事実そこまで思ったという。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「大名にも言ったが」
「受け入れられなかったですね」
「受け入れられる筈がなかった」
当時の日本ではだ。
「悪と言われても何故悪かだ」
「当時の日本人にとってはですね」
「全く訳がわからない話だった」
「同性愛がどうして悪なのか」
「ごく普通のことだったからな」
「その普通のことをですね」
「悪と言われてもな」
それでもというのだ。
「理解出来なかった、当然殺人や窃盗は犯罪だった」
「当時の日本でも」
「人類社会で悪とみなされる行為はな」
「普通に悪でしたね」
「だが同性愛はだ」
当時のキリスト教では最大の悪の一つとされていたこの嗜好はというのだ。
「当時の日本では何の問題もない」
「自然なことでしたね」
「古くからあるな」
「誰でも嗜んでいる」
「そんなものだったからな」
「悪と言われてもですね」
「何がどう悪いのかという時点でだ」
それこそというのだ。
「わからなかったのだ」
「そうでしたか」
「そしてどちらが生物学的に正しいかというとな」
「日本の方ですね」
「そうなる、キリンや猿がそうなのだからな」
そのキリン達を観つつ上等兵に話した。
ページ上へ戻る