八条学園騒動記
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第七百二十八話 キリンの習性その五
「同種は相当餓えていないとだ」
「糧としないですね」
「そうだ、それを行うとな」
それこそというのだ。
「越えてはならない一線を越えたとだ」
「言えますね」
「そう思う、蟷螂は共食いをするが」
「交尾の時雌が雄を喰らいますね」
「あの虫は動いているものは何でも攻撃するからな」
餌とみなしてだ、これは蟷螂の持つ習性であり本能としてそうした行為を行うのだ。他にもそうした昆虫は存在している。
「そうする」
「そうですね」
「だが他のだ」
「ある程度知能のある生きものなら」
「鮫の様にだ、血を流しているとな」
「それに寄って来て攻撃するなら兎も角」
「その鮫も滅多にだ」
この魚もというのだ。
「そうそうだ」
「同種は喰らわないですね」
「それは無意識にだ」
「避けるものですね」
「クールー病にもなるしな」
またこの病気の話をした。
「それに倫理的にな」
「ありますね」
「どんな生きものにも社会があり」
ある程度の知能が備わっていればというのだ。
「社会があるとモラルもな」
「存在しますね」
「そのモラルの中でだ」
「同種を食べないことは」
「やはりな」
「絶対のものですね」
「相当に餓えていないかだ」
若しくはというのだ。
「狂気に陥っているかだ」
「同性愛とはそこが違いますね」
「信仰の場合もあるがな」
「生贄ですね」
信仰と聞いてだ、上等兵はすぐに言った。
「かつて中南米等で行われていた」
「マヤやアステカ、インカでな」
「あちらの信仰は今も連合にありますが」
「復活してな」
「今は生贄はないですね」
「肉や野菜を捧げてだ」
祭事においてだ。
「そしてだ」
「祭事の後で食べますね」
「そうするが」
それでもというのだ。
「かつてはな」
「生贄を捧げ」
「その生贄の身体をだ」
まさにそれをというのだ。
「口にしていた」
「そうでしたね」
「そうしたことも行われていた」
生贄の捧げ方はそれぞれだった、中にはそうしたものもあり皮を剥いでそれを神官が被ったり身体を解体したり祭壇から突き落としたりもしていた。
「こうした場合もあるがな」
「昔はですね」
「これは特殊だな」
「そうした事例ですね」
「流石に信仰でもな」
この話でもというのだ。
「極めてだ」
「特殊ですね」
「そうした事例でな」
それでというのだ。
「広くはだ」
「言えるものではないですね」
「そうだ」
こう言うのだった。
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