八条学園騒動記
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第七百二十五話 ライオンの昼寝その二
「百獣の王にはな、私もな」
「観えないですね」
「とてもな、だがな」
「それは昼のことで」
「夜になるとだ」
その時はというのだ。
「主に雌が働いてだ」
「狩りを行いますね」
「そうだ、雌がだ」
鬣のない彼女達を観て言うのだった。
「主だ」
「実は雄はですね」
「ライオンは然程狩りではな」
「働かないですね」
「群れのリーダーとしてだ」
その立場でというのだ、大尉は上等兵に対してその生態系を知っている限り意識してわかりやすく話した。
「動いている」
「そちらが雄の働きですね」
「そうだ、誇らしい外見だが」
雄のライオンはというのだ。
「むしろな」
「狩りで動くのは雌で」
「雄はその次だ」
「そうでしたか」
「そしてだ」
大尉は言葉を続けた。
「実はライオンは小さい」
「そうなのですか」
「虎と比べるとな」
この生きものと、というのだ。
「そうなのだ」
「同じ様な大きさに見えても」
「体重を計るとな」
そうすればというのだ。
「百キロは違う」
「虎の方が重いですか」
「だからライオンと虎が闘えばだ」
その時はというのだ。
「虎の方が勝つことが多い」
「そうなのですか」
「虎はサバンナにはいないがな」
それでもというのだ。
「闘わせるとな」
「虎の方が強いのですね」
「おおむねな」
「そうですか」
「連合ではどちらも好まれていてな」
そうしてというのだ。
「同格だが」
「そうされていてもですか」
「お互いに闘うとな」
「虎が勝つことが多いですか」
「そうなのだ」
「ライオンは最強の生きものではないですか」
「エウロパでは最上位の生きものとされているが」
即ち自分達の国ではというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「その実態はな」
「今お話してくれた通りで」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
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