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ハッピークローバー

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第百三話 堕ちない幸せその二

「阪神はね」
「最強球団よね」
「それでいて盟主とか言わないから」
「いいのよね」
 留奈も笑顔で応えた。
「そうしたところが」
「それでマジックが」
「昨日も減って」
 そうなってというのだ。
「優勝がね」
「また近付いたんだ」
「それが嬉しくて」
 実際に伊東にそうした顔で言っていた。
「朝も記事読んだけれど」
「お昼もなんだ」
「読んでるのよ」
「そうなんだ」
「そうなの、今年も優勝して」
 そしてというのだ。
「シリーズもね」
「勝って」
「十連覇も」
 これもというのだ。
「達成するわね」
「絶対にね、しかしね」
 ここで伊東はこうも言った。
「パリーグの相手もね」
「クライマックスで勝ち抜いた」
「いつも必死で来るしね」
「そうよね、どのチームも」
「今年はソフトバンクが強いけれど」
 福岡に拠点を持つこのチームがというのだ。
「どのチームでもね」
「阪神勝ってるのよね」
「それで日本一になってるから」
「ソフトバンクもね」
「難しいと思うよ、これまでパリーグのどのチームが出て来ても」
「阪神日本一になってるから」
「その阪神に勝つことは」
 日本シリーズでというのだ。
「難しいよ」
「そうよね」
「うん、ただね」
 ここで伊東はこうも言った、何時しか新聞があるリビングの様な場所に二人横に並んで座って話している。
「それで世界一のチームか」
「まだ言えないわね」
「そうだよ、世界一のチームって」
 そうしたチームはというと。
「具体的にどうかってね」
「言えないわね」
「幾ら日本で十連覇しても」
 そうしてもというのだ。
「阪神もう十五連覇してるけれど」
「それで世界一か」
「違うと思うよ、ファンのマナーとかも」
「ああ、阪神ファンってね」
 留奈はその話になると顔を顰めさせて言った。
「どう見てもね」
「よくないよね、マナー」
「昔から有名だしね」
「十二球団で一番ファンのマナーが悪いのは」
 それはというと。
「阪神よね」
「そうだよね、昭和四十八年なんて」
 伊東はこの伝説のシーズンの話をした。 
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