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第百三話 堕ちない幸せその一

               第百三話  堕ちない幸せ
 留奈はこの日の昼休みは学園の図書館にいた、そこにいて新聞を読んでいると伊東が来て声をかけてきた。
「新聞読んでるんだ」
「八条新聞ね」
 この新聞をとだ、留奈は答えた。八条グループの企業の一つ八条新聞社が発行している全国紙である。
「読んでるけれど」
「何かいいニュースあった?」
「阪神が勝ったわ」
 見ればスポーツ欄を開いている。
「もうマジック点灯してるでしょ」
「例年通りだね」
「今年も優勝ね、阪神」
「間違いないね」
「それで巨人は」
 このおぞましい邪悪そのもののチームはというと。
「昨日は中日に完封負けよ」
「中日も最近しんどいけどね」
「けれどその中日にね」
「完封負けしたんだ」
「三試合連続でね」
「相変わらず弱いね、巨人」
 伊東はその話を聞いて思わず笑顔になった。
「いいことだね」
「そうよね、巨人が弱いとね」
「それだけで嬉しいわね」
「巨人が弱くて」
 そしてというのだ。
「負けると」
「それだけでいいわね」
「今年最下位だと」
 巨人がというのだ。
「二十一年連続だから」
「凄いわね」
「もう最下位ときたら」
 それこそというのだ。
「巨人よね」
「少なくともセリーグではね」
「十二球団で観ても」
 パリーグも含めてだ。
「ダントツよね」
「勝率一割台だからね」
「百二十敗はして」
 毎年というのだ。
「もうね」
「万年最下位とね」
「打たれる打たないエラーはする」
「走れないしでね」
「それで観客席を観たら」 
 球場のである。
「相手チームの応援ばかりで」
「巨人側いつもガラガラか」
 留奈は甲子園で観たものから話した。
「相手チームのファンばかりなのよね」
「そうなんだよね」
「不祥事ばかりだし」
「スター選手不在でね」
「もう巨人にあるものって」
「不名誉と恥ばかりだよ」
「そうなってるわね」
 留奈もそれはと頷いた。
「今の巨人って」
「かつては球界の盟主って自称していたけれど」
「今じゃあ球界の汚物よね」
「そう言われてるね、もうたまに勝ったら」
 そうなればというのだ。
「言われる位だし連勝すらね」
「滅多にないわね」
「そんな巨人に対して」
 最早球界の汚物と言われているこのチームにというのだ。 
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