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八条学園騒動記

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第七百二十四話 ゴリラの素顔その五

「君もだ」
「そのことはですね」
「よく知っておいてだ」
 そしてというのだ。
「観ることだ」
「ゴリラもオランウータンも」
「そうだ、試しにチンパンジーやニホンザルはだ」
 この霊長類達はというと。
「人が近寄ると威嚇しものを盗むこともだ」
「ありますか」
「そうする、実にだ」
「狂暴ですか」
「そうだ、だがゴリラはだ」
「そんなことはせず」
「穏やかだ、しかも肉も魚も昆虫もな」
 そういったものはというのだ。
「一切だ」
「口にしないのですね」
「そうしているのだ」
「完全なベジタリアンなら」
「それが狂信的なヴィーガンでもないとな」
 この時代でも稀にいて問題を引き起こしている。
「平和だな」
「そうですね」
「そうしたものばかり口にしているとな」
 野菜や果物だけを食べていると、というのだ。
「やはりな」
「それだけ平和的になりますか」
「その傾向があるのはな」
 このことはというと。
「やはりな」
「事実ですね」
「そうだと思う」
 大尉にしてもだ。
「やはり狂信的なヴィーガンは別だが」
「あれもカルトですね」 
 上等兵はどうかという顔で述べた。
「やはり」
「そうだな、ああなるとな」
「本末転倒ですね」
「連合にもエウロパにもいるがな」
「ああした極端なヴィーガン主義者は」
「そしてヴィーガンに限らずな」
 その思想だけでなくというのだ。
「他にもな」
「極端な思想の持ち主はいますね」
「カルトそのもののな」
 そう言っていいまでのというのだ。
「異常なだ」
「思想の持ち主がいて」
「自分達と違う主義主張にはだ」 
 そういったものに対してはというのだ、それこそ自分と違う主義主張なぞ星の数程いるものだ。特に彼等が極端な思想であるのなら。
「極めて排他的でだ」
「否定的ですね」
「そして攻撃的だ」 
 そうだというのだ。
「ヴィーガンに限らずな」
「左様ですね」
「それはかつてのキリスト教もだったがな」
 大尉は顔を顰めあせたままこうも言った。
「カトリックもプトテスタントもな」
「自分達以外の宗派、宗教は認めず」
「戦争さえしていた」
「それも相手を殲滅する」
「十字軍なぞだ」 
 これは中東に向かったものだけでなく東欧や南フランスに送られたものも入る。
「実にだ」
「酷かったですね」
「イスラム教徒を攻撃し」 
 中東の十字軍である。 
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