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星河の覇皇

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第八十五部第二章 日本大使館その二

「中々剣呑な人物でもある」
「外見からはそうは思えないが」
「しかしだ」
「そうした人ということでな」
「我々も対していこう」
「是非共」
 こうしたことを話してだ、日本政府外務省は細かいところにまで注意を払っていた。そうしてだった。
 その中でだ、小柳は東に昼食を共にしながらこんなことを言った。
「テレサ=チバ大使ですが」
「彼女ですね」
「どう思われますか」
「剣呑な人物かと」
 東は小柳ににこりとせず答えた、二人共蕎麦を食べているがあえて個室で食べていてそうして会談もしているのだ。
「外見はともかく」
「外見は至って大人しいといいますか」
「中学生に見えますね」
「ごく普通の」
「それがです」
 東はさらに話した。
「外面似菩薩内面如夜叉は言い過ぎにしても」
「穏やかであっても」
「策士で」
 それでというのだ。
「油断出来ません」
「左様ですね」
「中央政府は恐ろしい人材を送ってきました」
「外務省きっての策士ですね」
「カバリエ外相も認める」
 彼女がというのだ。
「そうした非常にです」
「油断のならない人物ですね」
「若し油断すれば」
「僅かでも」
「それを見逃さず」
 そうしてというのだ。
「仕掛けて来る」
「そうした方なので」
「日本も気を抜けないですね」
「千里先の針の落ちる音すら聞く」 
 小柳はざるそばを食べつつ言った、東はせいろだがふと見ただけではどちらも同じものに見える。だが違うものだ。
「そうした方ですね」
「そして動かれる」
「こうして私達がお話していることも」
「二人で」
「そのことすらです」
「ご存知ですね」
「そうかと。俗に狐に貉をぶつけたと言われますね」
 小柳は言った。
「左様ですね」
「お互い化ける者同士ですね」
「策士同士とのことですが」
「総理は言われました」 
 東は鋭い声で述べた。
「狐は七で」
「狸は八ですね」
「そして貉は九だと」
「狐七化け、狸八化けで」
 小柳は伊東が言った言葉の元を話した。
「貉は九化けです」
「そしてチバ大使はです」
「貉ですから」
「油断は出来ないと」
「ですが総理はです」
「狐は狐でも」
「九尾の狐と言われています」
 他にも日本の女狐とも呼ばれている、外見はともかくその頭の回転からそう呼ばれているのである。 
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