星河の覇皇
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第八十五部第二章 日本大使館その三
「ですから」
「そうですね、ですが大使は」
「貉と呼ばれていて」
「猫とも呼ばれていますね」
「九尾猫と」
小柳はあえてこの呼名を出した。
「猫は五十年生きれば尻尾が二本となり」
「猫又になります」
「化けられる存在に」
「そして俗に千年生きれば」
その時はというと。
「尻尾が九本になり」
「九尾猫ですね」
「それになると言われていますね」
「俗にですが」
小柳は述べた。
「言われていますね」
「そしてテレサ=チバ大使はです」
「九尾猫ですね」
「貉とも呼ばれて」
「猫、それも九尾となれば」
「絶大な力を持ちますが」
東は妖怪の妖力の話をしていた、だが二人共その実は伊東そしてチバの知力と政治力とりわけ謀略の話をしているのだ。
「それが大使ですね」
「どれだけ剣呑な存在か」
それこそとだ、小柳はまた言った。
「言うまでもないですね」
「全く以て」
「ですから」
それ故にというのだ。
「留守を預かる我々もです」
「安心出来ないですね」
「まさに油断すれば」
その時はというのだ。
「仕掛けてきます」
「左様ですね」
「策を仕掛けてきますね」
「隙を逃さず」
その隙のというのだ。
「そう思いますと」
「安心出来ません」
「今は情報収集に専念しておられる様ですが」
「それでも」
二人で蕎麦を食べながら話す、そして。
その中でだ、小柳は蕎麦をすすりつつ言った。
「こうしてです」
「我々が合っていることもですね」
「ご存知なので」
それでというのだ。
「それもです」
「スキャンダルにでもですね」
「仕立て上げることも」
この場合もというのだ。
「有り得ますので」
「今お会いしていますね」
「お昼に」
この時にというのだ。
「お昼に会っても」
「それも普通のお蕎麦屋さんなので」
「おかしくないです」
「仕事のお話ということで」
それでというのだ。
「そうそうです」
「スキャンダルに仕立てられません」
「そうです、このことはスケジュールにも書いています」
それぞれの閣僚のそれにだ。
「公です」
この場でのことだというのだ。
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