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星河の覇皇

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第八十五部第一章 国防省への忠告その六十六

「一生恨まれることもあるわ」
「そこまで恨まれたら難儀だな」
「恨まれるだけでもそうね」
「正直言ってな」
 実際にという返事だった、孫娘の今のそれは。
「その時にどれだけ下らない奴と思っていても」
「その時のことでね」
「先にどうなるかわからないしな」
「そしてどんな人でも思わぬ時に出て来るものよ」
「それで敵になったり味方になったりな」
「そう、だからね」
「味方は多いに越したことないさ」
 マルグリットは食べつつ言った、パエリアはインディカ米でありこの料理に実によく合っていた。パエリアにはこちらの米の方がいいのはこの時代でも同じだ。
「本当に」
「敵を作らないことはね」
「祖母ちゃんの仕事でもでな」
「人生自体でもよ」
「だからだよな」
「そんな言葉は出さないことよ」
 絶対にという言葉だった。
「本当に誰にもね」
「恨まれないことだよな」
「大事なのはね」
 まさにというのだ。
「十代で言ってね」
「若気の至りで軽くな」
「それが一生よ」
「百歳まで死ぬまで恨まれて意外な場所で再会してな」
「復讐されるとか嫌でしょ」
「だよな、本当にな」
 祖母の言葉をワインを飲みつつ述べた。
「だから言わないことだな」
「そういうことよ、それとね」
「それと?」
「あんた暫くここにいるのよね」
 地球にとだ、孫娘にこのことも確認した。
「そうよね」
「ああ、一週間な」
 マルグリットは祖母のその問いに答えた。
「そうするな」
「だったらね」
「その間はか」
「ここにいてね」
 カバリエの地球の家にというのだ。
「ホテルにしてね」
「そうしてか」
「観光を楽しめばいいわ」
「そうしていいんだな」
「お祖母ちゃんの家に泊まるなんて普通でしょ」
「観光でもか」
「そうよ、どうしてもホテルならいいけれど」
 こちらで夜を過ごしたいならというのだ、ホテルを楽しむこともまた旅行の楽しみ方の一つである。
「それでないならね」
「正直そこまで金ないんだよ」
「だからなのね」
「ああ、楽しみたくてもな」
 それでもというのだ。
「出来ないからな」
「それでなのね」
「祖母ちゃんが泊めてくれるならな」
「ではね」
「ああ、いさせてもらうな」
「それではね」
「悪いな」 
 泊めてもらってとだ、マルグリットは祖母に礼を述べた。
「誘いもかけてもらったし」
「いいわ、お祖母ちゃんだから」
「だからかよ」
「孫がそうしてくれと言ったらね」
「泊めるものか」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「気にしないでいいわ」
「じゃあお言葉に甘えてな」
「太陽系の旅を楽しむのよ」
「そうさせてもらうな、やっぱり旅はいいな」
 笑顔でこう言ってだった。
 マルグリットはまた飲んだ、そうしてまた言った。
「色々なところを巡ってこんないいものはないよ」
「だから連合中を巡る様にしているのね」
「そうさ、ここだってな」 
 太陽系もというのだ。
「そうしていくな」
「これからもよね」
「そうしていくな」
 言いながらだった、マルグリットは祖母と共に飲んで食べた。そうしてだった。
 デザートも風呂も楽しんだ、彼女にとっては実にいい時間であった。それはカバリエにとっても同じであった。 
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