イベリス
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第百二十話 大きく深くなっていく想いその十
「どういうかっていうと」
「そうなるのね」
「犯罪をしなくても」
「不倫とかよくないし」
「そうも考えたら」
「卑しいってなるわね」
「そうした人もいるのね」
クラスメイトは考える顔でこうも言った。
「世の中には」
「犯罪者じゃなくても」
「卑しくて」
そしてというのだ。
「どうかっていう人もね」
「いて」
「そしてね」
「そうした人ともお付き合いしたら駄目ね」
咲もどうかという顔で述べた。
「本当に」
「そうよね」
クラスメイトもそれはと応えた。
「知り合っても近付いたらね」
「駄目よね」
「お笑い芸人の人もそうで」
「その尼さんもね」
「どちらの人もね」
「何かね」
別のクラスメイト小柄な娘が言っていた。
「どんな場所でもそんな人いるのね」
「そうね」
咲もそれはと応えた。
「お坊さんの世界でもね」
「どんなところでもいい人がいて」
「よくない人もいるのね」
「そうよね」
「しかし」
ここでだ、咲はこうも言った。
「どんなところでもっていうと」
「どうしたの?咲っち」
「何かあったの?」
「あっ、何でもないわ」
お巡りさんの世界もと言いそうになって打ち消した、そうしてまた取り繕ってそのうえでクラスメイト達に話した。
「別にね」
「そうなの」
「じゃあいいけれどね」
「何もないなら」
「ええ、兎に角ね」
咲はあらためて言った。
「どんな場所にもいい人と悪い人がいるのね」
「そうよね」
「そのことはね」
「どうしてもあるわね」
「本当にね」
「そのこと覚えておくわ」
こう言うのだった。
「忘れないから」
「これ絶対よね」
「うちの学校だってこれはっていうのいるわよね」
「G組の中川とかね」
「あいつ凄い性格悪いでしょ」
「底意地悪くて図々しくてね」
「自分が都合のいい時だけへらへらして」
「それ以外の時は滅茶苦茶尊大で」
とある同級生のことが話された。
「部活でも嫌われてるしね」
「男子でも嫌ってる子多いし」
「私達女子だってだしね」
「うちの学校でもああいうのいるし」
「アルバイト先でもいたりするし」
「悪い奴も何処でもいるわよね」
「嫌な奴だってね」
「けれど逆にいい人だってるし」
「何処でもね」
「どんな場所でもそうよね」
「そうなのよね、何処でもいい人も悪い人もいる」
咲はまた言った。
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