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星河の覇皇

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第八十五部第一章 国防省への忠告その六十一

「人に軽蔑という言葉は言わないことよ」
「それは駄目かよ」
「重い言葉だから」
 だからだというのだ。
「その人がその時はそうすべき相手でも人は変わるわね」
「成長するんだな」
「軽蔑される人から尊敬される人になることもね」
 この場合もというのだ。
「あるから」
「言わないことか」
「それを言って」
 そしてというのだ。
「相手の心を傷付けたらね」
「駄目か」
「そうよ」 
 これは絶対にというのだ。
「口に出したら最後よ」
「その時はか」
「まさにね」
「あれか?日本の」 
 孫娘は祖母にこう返した。
「言霊な」
「言葉には力があるというね」
「あの考えか?」
 こう聞くのだった。
「ひょっとして」
「そこは違うわ」
「それじゃないんだな」
「お祖母ちゃんは言霊は信じていないの」
「そうなんだな」
「神々は信じていても」
 それでもというのだ。
「言葉には不思議な力があって呪いにもなるわね」
「そう言うよな」
「日本ではね」
「だから言葉に出すなってな」
 みだりにはだ。
「そう言うよな」
「あの国はそうね」
「そうしたのじゃないんだな」
「ええ、言葉には霊的な力はね」
「それはないか」
「お祖母ちゃんが考えるにはね」
「そうなんだな」
「けれど言葉は人を励まして」
 そしてというのだ。
「その逆にね」
「傷付けるものなんだな」
「そうしたものだから」
 それ故にというのだ。
「だからね」
「言うべきじゃない言葉もあるんだな」
「その軽蔑という言葉もね」
「そうなんだな」
「きつい言葉だから」
 軽蔑、この言葉はというのだ。
「軽い気持ちで出す言葉ではないわ」
「軽い気持ちで出すとか」
「その言われた相手の心に突き刺さって」
「傷付けてか」
「そうしてね」
「相手が恨んでか」
「覚えているから」
 そうしたものであるからだとだ、カバリエは孫娘に話した。その話している言葉は真剣なものであった。
「だからね」
「それでか」
「相手に言う時はね」
「軽いものじゃないか」
「それこそその人に深く恨まれて」 
 そしてというのだ。 
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