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八条学園騒動記

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第七百二十話 夜の鳥達その十一

「彼は偉大だ」
「そうした輩とは全く違いますね」
「そうした輩はこの世で数少ない無駄だ」
 そう言っていいものだというのだ。
「まさにな」
「ジュール=ヴェルヌと正反対に」
「こうした輩に海底二万マイルは書けない」
「そうですね」
 上等兵もそれはと答えた。
「ああだこうだとだ」
「現代の技術を出して否定するだけですね」
「そしてだ」
「そこから一歩も前に出ないで」
 そうしてというのだ。
「子供の夢を壊したと自分で言ってだ」
「その実壊すことは出来ないね」
「それで終わっているな」
「下らない輩ですね」
「こんな下らない才能を発揮するならだ」
 それ位ならというのだ。
「もうだ」
「才能を発揮しない分野で、ですね」
「真面目に生きた方がだ」
 その方がというのだ。
「遥かにだ」
「ましですね」
「そうだ」
 こう言うのだった。
「それよりはな」
「そうですか」
「そうした輩はどの分野でも同じだ」
「今の時点が最高と思い」
「それ以上はないと思ってだ」 
 そうしてというのだ。
「そこからだ」
「一歩も出ないで」
「進歩もな」
 これもというのだ。
「しない、成長もだ」
「しませんか」
「何一つな」
「停滞ですか」
「連合で最も否定されているな」
「それですね」
「そうだ、この国で停滞は罪だ」
 そう定義されているというのだ。
「殺人や強盗の様にだ」
「重い罪とされていますね」
「若し停滞するなら」
 それならというのだ。
「そんな政策や主張はな」
「否定されますね」
「全否される」
 そうなるというのだ。
「だからだ」
「そうした主張はですね」
「連合では否定されている、だがそんな輩が生きられるのもな」
 連合では徹底的に忌み嫌われる主張を出していてもというのだ。
「また連合だ」
「懐が広い社会ですか」
「伊達に四兆の人間がいてだ」 
 それだけの人口を擁していてというのだ。
「何千億もの星系を持っていない」
「だからですね」
「それなり以上に懐が広い」
「そうした国でもありますね」
「そういうことだ、ではな」
 それではというのだった。
「今度は懐のある生きものの場所に行くか」
「懐ですか」
「哺乳類でな」 
 大尉は微笑んで話した。
「そうした生きものがいる」
「哺乳類で懐が広い」
「そうだ、だがその前にな」
 こうも言うのだった。
「まだ少し猛禽類をだ」
「観ますか」
「そうしよう」
 こう話してさらに観るのだった、その前で梟達はそれぞれのコーナーの中で独特の鳴き声を出していた。


夜の鳥達   完


                    2023・5・16  
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