八条学園騒動記
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第七百二十話 夜の鳥達その七
「よく」
「そうだな、政治家としてもな」
「優れたいましたね」
「フランスをよく治めていた」
「皇帝となっても」
「只の軍人ではなかった」
「そうでしたね」
「そして知力もだ」
政治家としてだけでなくというのだ。
「優れていた」
「読書家で頭の回転もですね」
「見事だった」
「そうでしたね」
「英雄と呼ばれるに相応しいな」
「そうした人物でしたね」
「しかしだ」
それがというのだ。
「あの二人はな」
「そのナポレオン以上の知力と政治力を持っていて」
「政治的倫理観なぞなかった」
全く、そんな言葉だった。
「必要とあればだ」
「誰もを裏切り」
「何とも思わなかった、賄賂も取れば不倫もだ」
「していましたか」
「これはタレーランの話だがな」
その彼だというのだ。
「賄賂を取り不倫で子供までだ」
「もうけていましたか」
「そうだったと言われている」
画家のドラクロワがその一人だという、彼の顔立ちがタレーランと似ていたのでそう言われているのだ。
「依頼された仕事が出来ないと賄賂は返したが」
「そこは律儀ですね」
「だが受け取っていたのは事実だ」
賄賂をというのだ。
「そしてフーシェも政治資金を得る為にだ」
「賄賂をですか」
「また汚職もな」
「二人共そうした人間ですか」
「勿論ナポレオンも知っていた」
二人の悪事をだ。
「そして自分を何度も裏切っていることもな」
「知っていましたか」
「だが有能過ぎた」
タレーランもフーシェもというのだ。
「まさに彼等以上の人材はだ」
「いなかったのですね」
「だからな」
「用いていたのですね」
「そうせざるを得なかった」
ナポレオンをしてだ。
「そうだったのだ」
「そうでしたか」
「だが最後はな」
「陥れられましたか」
「そうだった、二人は力を合わせてだ」
尚二人は政敵同士で互いに常に隙を伺っていた。
「ナポレオンを失脚させた」
「そしてナポレオンは対することが出来なかった」
「彼に不可能がなかったならだ」
自分で言った通りにというのだ。
「ロシアでもワーテルローでも勝ってな」
「二人もですね」
「御することが出来た」
「そういうことですね」
「この通り不可能はだ」
これはというのだ。
「誰でもありその時もな」
「あるのですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
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