八条学園騒動記
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第七百二十話 夜の鳥達その八
「そうしたものだ」
「左様ですか」
「今の連合でもだ」
「それは同じですね」
「不死身であることもな」
「出来ていないですね」
「不老不死もと共にな」
これと、というのだ。
「不死身であることもだ」
「連合でもですね」
「無理だ」
「不可能ですね」
「一説にはだ」
大尉はいぶかしみながら上等兵に話した。
「前にも話したと思うが仙人やサン=ジェルマン伯爵はな」
「不老不死ですね」
「そして不死身というが」
「まことでしょうか」
「わからない」
大尉はこうした人物に会ったことがないのでこう言うしかなかった。
「だが若しかしてだ」
「人間は不老不死にもなれますか」
「不死身にもな」
「そうなのですね」
「錬金術なり仙術を極めるとな」
「そうもなれますか」
「そうも聞くが」
それでもというのだ。
「少なくとも今の連合ではな」
「不老不死も不死身もですね」
「不可能だ」
「幾ら連合でもですね」
「平均寿命が三桁に届いてもな」
百歳にまで至ってもというのだ、尚江戸時代末期の日本の平均寿命は三十にまで至っていなかった。これは乳幼児の死亡率の高さと突然死の多さに死に至る病が多かったからだ。
「それでもだ」
「不老不死、不死身はですか」
「今のところではあるが」
「不可能ですね」
「そうなっている」
こう上等兵に話した。
「やはり人間はな」
「不可能はありますね」
「そうだ、だから龍やドラゴンはな」
こうした生きもの達はというのだ。
「動物園ではな」
「飼育は不可能なのですね」
「そうなっている」
まさにというのだ。
「この国でもな」
「そうなのですね」
「あくまで今の時点だがな」
大尉はこう前置きすることも忘れなかった。
「あくまでな」
「今の技術では、ですね」
「未来はわからない」
「技術が発展すればですね」
「そして学問が進めばな」
こちらもというのだ。
「生物学も進みな」
「その生きものの生態や身体の仕組みが詳しくわかれば」
「飼育出来る様になる」
こう言うのだった。
「やがてな」
「そうなりますね」
「だからこそ今の技術や学問ではな」
「未来は語れないですね」
「そうだ、そんなことをしてもな」
「意味がないですね」
「何度も言うがな」
それでもというのだった。
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