星河の覇皇
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第八十五部第一章 国防省への忠告その二十五
「普段からそうですから」
「有事には連携は取れないな」
「そう思いました、普段いがみ合っていてそれでも有事に連携が取れるとは」
「そうなることはだな」
「私は思えないので」
「君のビジョンではだな」
「普段からでないと」
とてもというのだ。
「出来ないので」
「特撮やアニメではあるがな」
「左様ですね、そして戦い」
「そのうえでな」
「勝利を収めますが」
「そうなることは稀だな」
「それはヒーロー同士が特殊な関係にある場合で」
普段衝突し合っていてもというのだ。
「普通は普段仲の悪い相手とはです」
「連携が取れないな」
「実際に七年戦争でオーストリアとフランスは連携が取れていないと言ってよかったです」
「ハプスブルク家とブルボン家だったな」
「両家の関係は何百年も敵対関係にありました」
これが欧州の政治の軸の一つだった。
「そしてです」
「プロイセンという共通の敵に向かったが」
「この両家は同盟を結んでも」
それ自体は外交革命と言われ欧州各国を驚かせた。
「しかしです」
「連携が悪かったな」
「そうでした、ロシアやスウェーデンも入れてプロイセンをあと一歩まで追い詰めても」
「連携が悪かったことは事実だったな」
「どうしても」
「それを見てもか」
「はい、また二次大戦でも」
八条は再びこの戦争の話をした。
「連合国は勝ちましたが」
「それでもだな」
「連合国同士は元々上手くいっていませんでした」
「そうした間柄の国々ばかりだったな」
「連合国の五ヶ国ですが」
八条はその五ヶ国の名前も出した。
「イギリス、アメリカ、フランス、ソ連、中国は」
「正義の下に団結したか」
「表向きそうでしたが」
「その実はな」
「暇さえあればです」
枢軸国の面々と戦う合間にだ。
「イギリスの足を引っ張っていました」
「同盟国であるその国のな」
「まさにどの国もです」
他の四国全てがだったのだ。
「そうしていました」
「イギリスの敵は枢軸国だけではなかったな」
「ドイツ、イタリア、そして我が国とも戦い」
つまり日本ともだ。
「そのうえで、です」
「連合国の中でもな」
「そうしたことがあったので」
「イギリスは大変だったな」
「はい、その結果でした」
「イギリスは世界帝国の座から落ちた」
「そうなりました」
こうキロモトに話した。
「同盟国同士でしたが」
「連携は悪かった」
「利害が一致していただけで」
枢軸国と戦うというそのことがだ、ファシスト達に対するという大義は名分に過ぎなかったのである。
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