八条学園騒動記
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第七百十五話 ジャイアントアナコンダその二
「噂が今もあるが」
「アマゾンの方にですか」
「星によってはな」
「実在が確認されていて」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「この動物園にもいるのだ」
「そういうことですね」
「習性はアナコンダと同じだ」
この蛇と、というのだ。
「巨大だが基本大人しい」
「では安心していいのですね」
「先程話した通りな」
「そうなのですね」
「ただ巨大過ぎてな」
その為にとだ、大尉はさらに話した。
「人間なぞ一呑みだ」
「このことは覚えておくことですね」
「そうだ、ただ連合は生きものを使った処刑も好むな」
「数多い残虐な処刑の中で」
「凶悪犯は苦しめ抜いて殺す」
「処刑文化と言うべきですね」
「それがあるが」
大尉は顔を顰めさせ自分と同じ顔になっている上等兵に話した。
「しかしな」
「その中でこの蛇はですか」
「用いない」
「一呑みにしてもですか」
「何故なら死刑囚が苦しまないからだ」
「一呑みでは」
「そうだ、蛇は普通獲物に巻き付く」
その長い身体を利用してである。
「そして締め付けてな」
「そうしてですね」
「そのうえで獲物の身体の骨を折ってだ」
「圧死させますね」
「そうしてから飲み込むのがな」
そのうえで食べるのである。
「習性であるが」
「そちらだと苦しみますね」
「しかしだ」
「一呑みだと一瞬で」
「観ていて面白くないと言われる」
「死刑囚が苦しまないので」
「死刑囚に地獄の苦しみを与えて死なせる」
大尉は言った。
「それが連合の死刑において求められるものでな」
「すぐに死んではですね」
「しかも痛みもないのではな」
それではというのだ。
「何もだ」
「面白くない」
「そうだからな」
それ故にというのだ。
「連合ではな」
「このジャイアントアナコンダを用いた処刑はですか」
「行われない、生きものを使った処刑も多いが」
「全てじっくりと激しい苦しみを与えるものですね」
「それを求めているからな」
だからだというのだ。
「他にもすぐに死なせる様な」
「そうした処刑はですね」
「行わない」
一切というのだ。
「そうなのだ」
「その辺り徹底していますか」
「連合はな、ただ本当に一呑みだ」
大尉はジャイアントアナコンダの巨体を観つつ言った。
「まさにな」
「これだけの大きさなら」
「その為空腹の時はな」
「迂闊に近付かないことですね」
「猛獣であることは事実だ」
そう区分される生きものであることはというのだ。
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