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第九十二話 酷い親戚がいないことその十一

「餓鬼は幸せとは無縁よ」
「いつも餓えと渇きに苦しんでるのよね、餓鬼って」
「そしてお腹の中も虫が一杯いて」
「お腹の中を荒らすのよね」
「それで幸せな筈ないでしょ」
「それが餓鬼ね」
「人間の姿のままでも同じよ」
 餓鬼になればだ。
「心が浅まし過ぎてね」
「幸せになれないのね」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「一華はそんな人達みたいになったら駄目よ」
「幸せになれないから」
「実際この人達は嫌われて」
 そうしてというのだ。
「誰からもね」
「それじゃあ幸せになれないわね」
「心は浅ましくて何もなくてね」
「誰からも嫌われるなら」
「絶対によ」
 まさにというのだ。
「幸せじゃないわ」
「そうよね」
「だからね」
「そんな人達みたいにはならないことね」
「この人達は生きていて全く努力しなかったから」
 それ故にというのだ。
「そうなったのよ」
「餓鬼になったのね」
「だからね」
「努力することね」
「そうよ」 
 こう言うのだった。
「大事なことはね」
「努力したらそんな人達にはならないのね」
「努力したら人間としてのレベルも上がって」
「嫌われなくて」
「幸せにもなれるから」
「努力することね」
「若し自分がそんな親戚になったら」
 その時はというと。
「嫌でしょ」
「凄くね」
「そんな人達が親戚にいなことは幸せで」
「自分がならないことも幸せね」
 一華はこのこともわかって頷いた。
「そうね」
「そうよ、だからそうなってね」
「ええ、幸せになる為には努力することも大事ね」
「大事というか絶対よ」
 このことはというのだ。
「まさにね」
「そうしないと幸せになれないのね」
「そう言っていいわね」
「そうなのね」
「だからあんたもね」
「努力することね」
「今お話してる人達みたいにならない為にもね」
 こう言うのだった。
「努力することよ」
「わかったわ、しかしその人達の親戚の人達は大変ね」 
 眉を顰めさせてだ、一華はその人達のことを思って言った。
「周りは」
「実際そうだったみたいよ」
「迷惑ばかりかけられていたのよね」
「親子で身内の癌だったそうよ」
「癌ね」
「酒乱の人と合わせてね」
「癌が三人もいたのね」
 一華はこのことについてあらためて思ってまた眉を顰めさせた。
「それだけでかなり不幸ね」
「ええ、だから息子さんは縁切りされてるみたいね」
「そうなのね」
「お母さんがいなくなって」
 甘やかしていた張本人がだ。 
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