ハッピークローバー
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第九十二話 酷い親戚がいないことその十
「あっさりとね」
「手の平を返して」
「見捨てたって言ったのよ」
「酷いわね」
「だから自分以外の生きものは皆大嫌いだから」
その母親はというのだ。
「甘やかしている息子さんに愛情もよ」
「なかったのね」
「甘やかすのと愛情は違うのよ」
「また別ね」
「愛情があるのなら駄目なことは駄目って言って」
そしてというのだ。
「距離もね」
「置くのね」
「べたべたしないで」
そうしてというのだ。
「そうもしないの」
「甘やかすのと愛情は違う」
「愛情ある甘やかしもあるけれどね」
この場合もというのだ。
「その場合はまた別の甘やかし方になるのよ」
「どう違うのかしら」
「家の犬や猫を甘やかすのと同じよ」
母はこう娘に言った。
「笑顔を向けて可愛いとか言っても」
「悪いことをしたら」
犬や猫がとだ、一華はそう言われてわかった。
「叱るわね」
「自分に迷惑がかからなくてもね」
「そうするわね」
「自分に迷惑がかかっても子供が危ないならね」
その時はというのだ。
「見捨てないのが親でそもそもそうならない様にね」
「教えるものね」
「この人は息子さんが人に言われて殴ってやろうかって言ってもね」
「怒らなかったのね」
「そう言われてもどうとも思わなかったのよ」
そうだったというのだ。
「五十過ぎの人が注意されて逆キレしてよ」
「殴ってやろうかって言ったの」
「しかも自分の叔父さんで病気で身体壊している人にね」
「そんなこと言っても」
「それを叱らないで」
それでというのだ。
「どうでもいいだったのよ」
「それもないわね」
「そうでしょ、そんなことばかりで」
それでというのだ。
「そんなとんでもない人になって」
「自分に何かありそうだと手の平返しね」
「そうだったのよ」
「その親にしてその子ありだけれど」
一華はまた首を傾げさせた、そうして口をへの字に刺せて腕を組んでそのうえで母親に対して言った。
「元凶はね」
「お母さんでしょ」
「あんまりにも酷くて」
「まともな人にはね」
「育てられなかったのね」
「そうよ、そんな人達が親戚にいないなら」
それならというのだ。
「幸せでしょ」
「本当にね」
「そしてこんな人達にはね」
一華にさらに話した。
「ならないことよ」
「そのことも大事ね」
「人間あまりにも堕ちると餓鬼になって」
そうしてというのだ。
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