ハッピークローバー
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第九十二話 酷い親戚がいないことその九
「爪切りまでお世話になっていたのよね」
「奥さんからね」
「お金出してもらって」
「働いてないからお金なかったのよ」
その人にはというのだ。
「一切ね」
「それでお世話になっていて」
爪切りまでだ。
「感謝してなくて」
「それを持って行ったって怒るね」
「怨みっぽくて恩知らずね」
「それでそれを人に言うのよ」
「無神経ね、そんなこと言ったのを聞いたら」
その時点でとだ、一華は言い切った。
「皆呆れるわ」
「何て人だってね」
「そんなこと私だってわかるわよ」
「高校生でも?」
「ええ、そんなこと普通は言わないし」
一華はさらに言った。
「爪切りまで言う?」
「器が小さいでしょ」
「ええ、そんな人が誰かの為に何かするか」
「そんな筈ないでしょ」
「ええ」
母に答えた。
「絶対にね」
「それで何も出来ないししないから」
「迷惑ばかりかけてるのね」
「働いていないからお金なくて」
母はこのことをさらに話した。
「借金それも闇金に借りて」
「それドツボじゃない」
闇金から借りたと聞いてだ、一華の目が瞬時で座った。そのうえで母に対して声も座らせて言ったのだった。
「闇金って」
「それで借金だらけになったのよ」
「当たり前でしょ」
そうなるのはというのだ。
「誰だってわかるわよ」
「それで団地に住んでいてもね」
「家賃も払えなくなって」
「遂に追い出されたのよ」
「そうなのね」
「それで後始末でね」
闇金の借金と追い出された後のこともというのだ。
「親戚や天理教の人達にね」
「迷惑かけたのね」
「当然このことについてもよ」
一連の不始末についてもというのだ。
「感謝なんてね」
「しなかったのね」
「ちなみに母親さんその時まだ生きていたけれど」
「甘やかしていた」
「見事に掌を返してね」
それまで散々甘やかしていたがというのだ。
「見捨てたのよ」
「甘やかしていても」
「そうしたのよ」
これがというのだ。
「何とね」
「そこにそのお母さんの本質見えてない?」
一華は母の話を聞いて首を傾げさせて言った。
「もう」
「そう思うでしょ」
「ええ、甘やかすだけで」
「子育てはしていなかったのよ」
「そうよね」
「息子さんが五十過ぎてもべたべたしていたけれど」
そうして甘やかしていたがというのだ。
「息子さんが不始末をして」
「借金って自分に代わりに払えとかなるしね」
「よくあるお話でしょ」
「そうよね」
「それで自分に火の粉がかかりそうになったら」
その時はというのだ。
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