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ハッピークローバー

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第九十二話 酷い親戚がいないことその八

「最底辺にいてね」
「そこから出ることはないのね」
「それで周りに迷惑を撒き散らして害毒を垂れ流すのよ」
「そんな人達が親戚でなくてよかったわ」
 つくづくだ、一華は心から思った。
「私の親戚にいなくて」
「お父さんの方にもお母さんの方にもね」
「それも二人なんてね」
「そこのお家他にもいるらしいけれどね」
「そんな人が?」
「この人は働いているけれど酷い酒乱で」
 母はここでも顔を曇らせて話した。
「DVでね」
「その人も最低ね」
「奥さんが一回実家に帰ったら」
「酒乱でDVだと当然でしょ」
 一華はそれはと返した。
「離婚されてもね」
「その実家にゴルフクラブ持って来たのよ」
「それ警察に通報出来るわよ」
 母に目を座らせて言葉を返した。
「そうなったのよね」
「それから離婚っていうのね」
「そうなったでしょ」
「それが親戚でその人の話だけは聞くって人がいて」
 母はどうなったかを話した。
「その人を呼んで来てもらって」
「収めてもらったの」
「その人が来て行こうかって一言言って」
 それでというのだ。
「帰ったけれどそうしたことがあったから」
「離婚ね」
「いや、怖くなってね」
「戻ったの」
「そうして今も一緒にいるみたいよ」
「それ駄目でしょ」
 一華はここまで聞いて眉を顰めさせて言った。
「そんな酒乱でDV男とね」
「一緒にいてもでしょ」
「いいことないわよ」
「色々底意地悪くて陰気で愚痴ばかり言って皆と仲悪いそうよ」
「そんな人ともね」
 絶対にとだ、一華は母に言った。
「一緒にいたくないわ」
「そのお家にはこんな人もいるのよ」
「三人もいるのね」
「そうなのよ」
 実際にというのだ。
「その親子だけじゃなくて」
「いや、そんな親戚の人が一人もいないって」
「よかったのね」
「幸せよ」
 自然とこの言葉が出た。
「それだけで」
「お母さんもそう思うわ。身内にとんでもない人がいないだけでね」
 まさにそれだけでとだ、母も答えた。
「幸せなのよ」
「そうよね」
「ちょっとしたことだけれど」
 それでもというのだ。
「それだけでね」
「幸せね」
「実際この人達迷惑かけてばかりだから」
「親戚の人達に」
「むしろ迷惑しかね」
 いい行いなぞせずにというのだ。
「かけていないのよ」
「そうでしょうね」 
 一華もそれはと応えた。
「誰かの為に何かすることないっていうし」
「それで何かしてもらってもよ」
 逆にというのだ。
「感謝しないで気に入らないことをされたら」
「怨むのね」
「爪切りまで持って行ったとかね」
「そのお話だけれど」
 一華はまた聞いたそれの話もした。 
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