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星河の覇皇

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第八十四部第四章 続く会談その五十一



「それでも空に、人類が地球にいた時の話だけれど」
「やはり月も一つですね」
「二つはないですね」
「太陽と同じで」
「それで、ですね」
「そうよ、玉座は一つよ」
 このことは絶対だというのだ。
「だからサハラに残るのはね」
「英雄は二人でもですね」
「一人だけですね」
「そうなりますね」
「項羽と劉邦が争って」
 今度は古代の中国の話であった。
「残ったのは劉邦だったわね」
「そして漢帝国を築きました」
「四百年に続く王朝を」
 ただし途中で王莽が新という王朝を築いているがこれはよく簒奪だったとして数に入れられなかったりする。
「そうしましたね」
「敗れた項羽は自害しました」
「四面楚歌の後で」
「史記にもそれはありますね」
「歴史に書かれています」
「そうよ、項羽は敗れて世を去ったわ」
 この人物はというのだ。
「覇王とまでなった人物でもね」
「まさに英雄でしたが」
「戦えば必ず勝つ」
「圧倒的な戦術と武勇を誇っていましたが」
「それでも世を去りましたね」
「そして劉邦だけが残ったわ」 
 そうなったというのだ。
「それを見てもわかる通りにね」
「英雄が二人いてもですね」
「統一されると一人ですね」
「一人しかいなくなりますね」
「そうよ、天下を争うなら」
 そうした状況ならというのだ。
「一人しかいなくなるわ」
「そしてサハラもですね」
「残るのはお一人」
「そうなりますね」
「覇権を争う英雄はね」
 どうしてもというのだ。
「そうなるわ、これが普通の政治や文化ではね」
「並び立つこともありますね」
「英雄は数人いてもいいですね」
「そうした分野では」
「そうよ、スポーツなら何人いてもいいわ」
 英雄、そう呼ばれる存在がというのだ。
「マラドーナの頃のアルゼンチンチームの様にね」
「マラドーナだけではなかったですからね、当時のアルゼンチンは」
「確かにマラドーナは偉大でしたが」
「ワールドカップを彼の大会だったと言わせるまでね」
 一九八六年の大会のことだ。 
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