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私の 辛かった気持ちもわかってよー

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11-3

 5日の日、寒い朝6時半の電車。みく美は出町柳から特急に乗ると言っていたから、電車の中での待ち合わせになっていた。大阪といっても枚方という所からバスに乗り継いで30分ぐらい。8時前に着いて、守衛さんに名乗って、部室のほうに行ったら、古賀さんが待ち受けていてくれて、更衣室で着替えてコートに出て行った。

 大学生だろう3人の男子が待っててくれて 「古賀さんには、臨時コーチといった形で指導してもらってます 君達の活躍は聞いてますよ 山城さんは魔球みたいなサーブもするんだって! こっちも、教えてもらえたらと思ってネ」

「そんなー 魔球って 少し、変化するだけですよー」

 その後、球の速さに慣れるため、キャプテンという立山さんのサーブを受ける練習をみく美とそれぞれにしていった。時々、三ッ木、篠井さんの他の二人が交代して私等に打ち込んできていた。球の速さが全然違って威力もあるから私達は最初、ついていけなかった。慣れてきても、半分くらいがやっとで・・。その後は、私達が交代でサーブを打って、私はあえて、壱の型のサーブは出さなかった。すると、最後のほうになって古賀さんが

「山葵 得意のサーブを出してみな」と、

 そして、思いっきり伸びあがってジャンプして壱の型のサーブを・・・受けて居た三ッ木さんも最初、面喰ったのか、1本目・2本目とタイミングも合わなかったみたいで・・・3本目にようやくラケットに当てて・・だけど、ラインの外に・・男の人達は顔を見合わせて、立山さんに変わっていた。すると、少し下がって鋭いリターンが・・・だけど、みく美からは「山葵 リーリー」と、私達の間の合言葉なのだ。そのリターンをみく美は返せるよっていう合図。

 それから、少し休憩をしてダブルスの試合形式で練習してみようとなって、相手は三ッ木さんと篠井さんのペァで私のサービスから始まった。最初は私のサーブに戸惑ったのか、リターンもみく美がボレーを決めて、すんなり3ゲームを取っていた。だけど、4ゲーム目から受けている三ツ木さんは私のサーブを前に出て返すようにしてきて、それもみく美の動きの反対側に返していたのだ。結局、そのセットは6-3で取られてしまっていた。次のセットは立山さんが変わって入って、向こうのサーブで、早くて一方的でまともに返せないで、最後は手加減してくれたんだけど6-1で終わった。

 初日の練習が終わった後、お昼に、皆でよく行くという食堂に連れて行ってくれた。

「どうだ? この二人は?」と、古賀さんに3人に聞いていた。

「いや すごいですよー 打ち込んでくるボールが変化していて、苦労しましたよ 返せても、真面にいかなかった」と、三ツ木さんが言ったけど

「まぁ 最初は、戸惑ったけど、慣れてくると 君達が次はどう仕掛けてくるのか 読めてしまうんだなー 体力的なこともあるけど、モーションが大きいかなー それに、僕達とはスピードがまだまだ違う、もっと早く動くようにしなきゃー」と、立山さんが指摘してきた。私達は実力の差にめげていたのだ。

「そーなんだよ この二人には、今回は君達のスピードに慣れてくれれば思ってる 技術的には、これ以上のものを求めると つぶれてしまうかもしれんからな」と、古賀さんが付け加えてくれた。

「まぁ 明日からは、とにかく打ち合って慣れていこう 僕達も君達の打ち返しが勉強になるから教えてもらうよ」

「うん 僕は、明日からはこれないから よろしく頼むよ」と、古賀さんは今日だけだったんだ。

「任せてください めざせ高校総体No.1 ですよね ウチの女子達と違って 二人とも 可愛いから、気合が入りますよ」

「オイ! この二人は音女の宝なんだから 変なことしたら、あそこの
理事長が押しかけて来るぞー」と、古賀さんは笑いながら釘を刺していた。

 そして、残りの2日間は徹底的に打ち合いをしてくれていたのだ。何とか、私達も向こうのスピードと威力にも対応できるようになっていた。それから、チャンスがあるとジャンプして私達の得意のスマッシュも出せるようになっていた。そして、春休みも来てもいいよって立山さんが言ってくれていた。君達のスマッシュは勉強させてもらったよ それに、多分、ウチの女子達の間でも上のレベルだから、充分、練習相手になれるからって

 私達は、最初、まるで相手にならないと思っていたのだけど、最終日には、幾らかは自分達も強くなったと手応えを感じていると二人で話していたのだ。 
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