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イベリス

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第百八話 残暑が終わりその十

「そもそもな」
「そういうことね」
「だからな」
「もう何処も採用しないのね」
「うちのグループだとな」
「八条学園出身でも」
「それでも問題外だ」
 それこそというのだ。
「人を平気で裏切るなんてな」
「お仕事一緒に出来ないから」
「それも自分が告白する様に言って自分達が悪く言われる様になってだな」
「振った女の子とそのお友達からね」
「自分達が都合が悪くなったら昨日まで友達と言っていた人を裏切るんだぞ」
「それこそ平気で人裏切るってことね」
「そんな掌返しする連中誰が採用するんだ」
「それがもう八条グループ全体に知れ渡ってるのね」
「普通学校でのことなんて話がいかないけれどな」 
 グループ全体にというのだ。
「この話はあんまりだからな」
「それでなのね」
「凄くな」
「知れ渡ってるのね」
「そうだ、だからな」
「あの人達はもう採用されないのね」
「多分大学にもな」
 八条大学にもというのだ。
「推薦もな」
「取れないのね」
「素行の悪さとかじゃない」
「どんな人間が知れ渡ってるからなのね」
「大学の方にもな」
 そちらにもというのだ。
「だからな」
「推薦も貰えないのね」
「一般で合格してもな」
「大学でも白い目ね」
「それで就職もな」
 こちらもというのだ。
「グループには出来ないな」
「未来は暗いのね」
「そうだな、しかし裏切られた人の話も聞いてるだろ」
「ええ、その後凄くいい親戚の人達のお家に入って」
 咲もその人のことを知っていて話した。
「素敵な恋人さんと巡り会って」
「ずっと支えてくれる本当の友達もいてな」
「立ち直ったのよね」
「そうだ、酷い目にも遭ったが」
 その人はというのだ。
「立ち直れてよかったな」
「今も八条学園におられるのよね」
「確か咲の一つ上位だったな」
「あれっ、一つ上位なの」
「ああ、それ位でな」
 それでというのだ。
「その人はな」
「去年そうした目に遭ったのね」
「それでその話があっという間にな」
「学園全体に広まって」
「グループにもな」
「お話がいったのね」
「本当に悪事千里を走るだ」
 父は娘に言った。
「自分達の都合が悪くなるとすぐに人を裏切るのはな」
「悪事なのね」
「法律に触れなくてもな」
 それでもというのだ。
「最悪の行いの一つだ」
「悪事の中で」
「そうだ」
「やっぱりそうなのね」
「しかも恰好悪いな」
「最低な行いだからね」
 そう思うからだとだ、咲も答えた。
「恰好悪いって言ったらね」
「悪いな」
「それよりも友達なら」
 自分でそう言うならというのだ。 
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