ドリトル先生と桜島
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第七幕その三
「木のね」
「二重だね」
「二重の守りだね」
「まさに」
「そうだよ、そのうえで鉄砲を使って」
そうしてというのです。
「弓や槍も使ったんだ」
「ああ、鉄砲だけじゃないんだ」
「そうした武器も使ったんだ」
「鉄砲だけじゃなくて」
「そうだよ、そしてね」
それでというのです。
「織田家の圧勝だと思うね」
「あれっ、違うの?」
「長篠の戦いって織田家の圧勝でしょ」
「それで武田家は惨敗だよね」
「それがね、確かに武田家は多くの名立たる家臣の人達を失って」
そうなってというのです。
「足軽、兵隊の人達もそうなったけれど」
「織田家もなんだ」
「圧勝じゃなかったんだ」
「その実は」
「有名な家臣の人達は死んでないけれど」
それでもというのです。
「結構な損害が出ているんだ」
「へえ、そうなんだ」
「倍以上の戦力で川と柵で守りを固めても」
「鉄砲も用意して」
「弓や槍を使っても」
「そう、やはり武田家も強くて必死だったからね」
その為にというのです。
「損害も大きかったんだ」
「何か色々違うね」
「言われていることとは」
「全くね」
「史実を調べるとね」
そうすると、というのです。
「色々面白いことがわかるんだ」
「先生よくそう言うけれどね」
「長篠の戦いもそうなんだね」
「織田家の圧勝でなくて」
「勝っても損害も大きかったんだ」
「そうだよ、鉄砲は確かに役に立ったけれど」
それでもというのです。
「それだけじゃなかったんだ」
「鉄砲だけかっていうと」
ガブガブは考えるお顔で言いました。
「違うなんてね」
「戦争は数だって言うけれどね」
ホワイティはこの言葉を出しました。
「この戦いでもだったんだね」
「相手を戦わざるを得なくする」
「別動隊を使って後ろを攻めて」
チープサイドの家族もお話します。
「そうして決戦を挑む」
「相手に勝つ為にね」
「しかも川を挟んでね」
トートーは思いながら言いました。
「柵まで使ってなんて」
「信長さんは用意周到ね」
しみじみとです、ポリネシアは思いました。
「ただ革新的なだけじゃなかったのね」
「色々慎重な人だったんだね」
ジップもしみじみと思いました。
「せっかちかと思ったら」
「勝利の為の準備に余念がなかったのね」
ダブダブも言いました。
「信長さんって人は」
「そういえば信長さんのイメージも」
チーチーは信長さんのことを言うのでした。
「結構実際と違うみたいだしね」
「せっかちで怒りっぽくてね」
「残酷な一面もあるってね」
オシツオサレツは二つの頭で言いました。
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